LGBT観光客に積極的に取り組む 米国の先進的事例に学ぶ 【コラム】

LGBT観光客を誘致するためできることは? 米国の先進的DMOが取組む専門部署の設置からスポーツイベントまで【コラム】

(トラベルボイス 2019年4月20日)
富裕層観光とともに「LGBT」の言葉を目にすることが増えている。「LGBT」は、レスビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字で、セクシャルマイノリティを表す言葉で、年収が10万ドル(約1100万円)以上ある人が39%いるといわれている。
LGBTへの取り組みは、米国、カナダ、欧州でも始まっており、日本も世界的動向を把握しておく必要がある。
【ポイント】
最近、取り上げられることが増えたLGBT。レスビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字で、性的少数者(セクシャルマイノリティ)を表す言葉の一つ。
LGBTには年収が10万ドル(約1100万円)以上ある人が39%いるとか。一般より収入が高い層が多く、性的志向、性別認識という属性だけではない、消費の仕方についても他の旅行者ターゲットとは異なる特徴があると推測される。
近年は「LGBT」から「LGBTQ+」に概念を広げているといい、自らがLGBTみあてはまるかわからない、あるいはLGBTには入らない性的志向、性別認識があるものを意味し、「+」は多様性を表します。
米国では、観光地域全体でLGBTに取り組む先進的な地域として、カリフォルニア州サンフランシスコ、ネバダ州ラスベガス、イリノイ州シカゴ、オハイオ州コロンバス、フロリダ州フォートローダーデール郡などがあげられる。
フロリダ州フォートローダーデール郡には、1年間でLGBTの旅行者150万人が訪れ、地域への経済効果は5億ドル(約1650億円)という。
フォートローダーデール郡のDMOでは、2012年に北米で初めてLGBTを担当する専門担当者であるLGBT+担当副社長を設置した。就任5年前のLGBT予算は年間9000ドル(約100万円)だったが、現在は100万ドル(約1.1億円)まで増額し、LGBTを誘致するマーケティング活動を拡大している。
オハイオ州コロンバスのDMOは、LGBTを対象としたスポーツイベントも積極的に誘致している。LGBTの人は従来のスポーツイベントには参加しにくい人もいるのでニーズがあるといい、北米ゲイバレーボール協会などを誘致しています。LGBTにフレンドリーな都市であることをアピールするため、玄関口となる空港と協力し、LGBTの人が使いやすいトイレの整備などの対応を行っている。

LGBTのエクスペリエンス・コロンバスのホームページは、検索エンジンで「Columbus LGBT」と検索するとほぼトップに表示される。コロンバスへの旅行者は、LGBTに関心がない人も多いので、ターゲットに必要な情報を届け分ける工夫がされている。

ノースカロライナ州には通称「トイレ法」があり、本人が認識している性別のトイレの使用を禁じ、出生証明書に記載された性別に合わせたトイレ使用を義務付ける州法が2016年に成立している。
これはLGBTへの人権侵害だとして、プロバスケットボールリーグ(NBA)によるオールスターゲーム、全米大学体育協会(NCAA)などが、同州で予定していた試合会場を州外に変更するといった事態に発展した。
いろいろな議論があり、最終的に2017年にトイレ法は撤回された。

これからLGBTに取り組む場合、最初に何をすべきか。
地域内のLGBTの人に意見を聞くべきという回答がありました。また、国際的なホテルチェーンも、グローバルレベルでの対応ノウハウを持っていることから、中心的存在になるとの話もありました。
日本では、宿泊施設や観光施設などで個別にLGBTへの取り組みが進みつつあるものの、観光地域全体としてLGBTフレンドリーといえる地域はまだないと思われる。困難はあると思うが、ビジネスチャンスの意味から価値がある。