道頓堀が「外国人観光客頼み」から脱却し、エンターテインメントの街を目指す理由!

道頓堀が「外国人観光客頼み」から脱却を目指す理由

(ダイヤモンドオンライン 2019年5月28日
道頓堀の活性化構想では、道頓堀全体を立体的なビジョンでメディア化し、カニやタコといった看板を活用したムービーを制作し、YouTubeで世界に発信していくという。
2015年にギネス世界記録を達成した「道頓堀盆おどりインターナショナル」や、「カラオケ大会」を外国人が参加しやすいように拡充し、「リバーサイド屋台」を設置していくようだ。
大阪万博やIR構想があることから、夢洲と道頓堀を結ぶショーボートを往来させる構想もある。
現在、道頓堀商店会とJTBは、道頓堀を世界的な観光地へ発展させるため「エリアマネジメント分野の連携に関する協定」を結んでおり、今後の発展を期待したい。
【ポイント】
道頓堀が爆買いインバウンド(訪日外国人旅行)頼みから脱皮を図ろうとしている。
元来、芝居の街、娯楽の街として栄えてきた道頓堀を、新たなエンターテインメントの街に再創造しようという動きが出てきている。

道頓堀ですっかり有名になっている道頓堀川近くの「グリコマン」、商店街の中の「カニ」「タコ」「ふぐ」といった看板のキャラクターが夜な夜な徘徊――。そんなイメージのショートムービーを制作し動画投稿サイト、YouTubeで発信する。
大阪・夢洲のIR会場では「リトル・ドウトンボリ」や「ドウトンボリタウン」が出現。はたまた道頓堀と万博会場を結ぶ遊覧船では、OSKミニレビューや若手芸人による多言語漫才が繰り広げられる――。
道頓堀商店会が中心となって構想している近未来の道頓堀のイメージだ。

2018年に大阪を訪れた外国人は1141万人。14年の来阪外国人数は376万人だったので5年で3倍に急伸。
1位が中国人で455万人。訪日客の半数以上が大阪を訪れているし、2位の韓国人は239万人だ。
インバウンド客の急増はLCCが増加したことや、円安効果が背景にあるが、経済効果も大きく、百貨店の売上高は東京などが横ばいか漸減傾向なのに対し、大阪だけが漸増傾向を示し爆買いの恩恵に浴している。
大阪観光局の18年の「人気スポットアンケート」によると、1位が「道頓堀」、2位が「大阪城」、3位が「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の順である。
インバウンド客を引き付けてやまない道頓堀。街自体は相変わらずごちゃまぜの風情があり、食い倒れは健在で飲食店が多い。だが、かつて「食と娯楽」で栄えた街という雰囲気とは様変わりしている。
今ではたこ焼き店と、中国人観光客をメインターゲットにしたドラッグストアが軒を連ねている。
ドラッグストアはツルハやコクミン、マツモトキヨシ、ダイコクなどといった有力チェーンが軒並み店を構えている。
ドラッグストアの店頭にはスタッフが立ち客を呼び込み、店内に入れれば「ニーハオ」という声が聞こえてくる。中国語や韓国語で書かれたPOPやチラシが多く、免税対応のレジも並んでいる。
「角座」跡地では、現在、九州地盤のコスモス薬品とホテルが入るビルの建設が進んでいる。

かつての演劇場「浪花五座」は、浪花座、中座、角座、朝日座、弁天座だが、次々と姿を消した。
道頓堀商店会事務局長の北辻稔氏は「インバウンドと浮かれているわけにはいけない」と話す。
心斎橋、戎橋近辺は平日こそインバウンド客でにぎわうが、休日の人出も変わらないという。日本人の観光客が減っているのだ。

中国人観光客の化粧品・医薬品販売も今は好調だが、今後、越境EC(電子商取引)が拡大すれば道頓堀で買わなくてもすむという危機感が道頓堀には潜在的にある。
日本人観光客にコンスタントに来てもらうためには、滞留時間を長くしてもらうためにはどうしたらいいかと考え、出した答えが「エンターテインメントの再創造」だ。
北辻事務局長は「道頓堀は400年前に芝居の街として始まっている。浪花五座が中心となって400年繁栄し続けてきた他に例のない街。このエンターテインメント性を大事にして、もっと改革していかなければならない」と話す。
道頓堀を活性化する構想では、道頓堀地区全体を立体的なビジョンでメディア化し、食い倒れの街、道頓堀を象徴するカニやタコ、ふぐといった看板を活用したムービーを制作。このムービーをYouTubeで公開し道頓堀を訪れる観光客に大阪の魅力を伝え、世界に発信していく構想だ。
道頓堀で展開するコンテンツも練られている。例えば2015年に2000人以上が参加してギネス世界記録を達成した「道頓堀盆おどりインターナショナル」。
盆おどりと併催している「カラオケ大会」を「外国人選手権」とし外国人が参加しやすいように拡充することや、盆おどりの際には江戸期に流行した担ぎ屋台を模した「夏休みリバーサイド屋台」も設置し、道頓堀の夏の風物詩としていくことも構想している。
大阪では夢洲で25年に日本国際博覧会(大阪万博)、IR(統合型リゾート)が計画されていることから、万博会場と道頓堀を結ぶショーボートを行き来させたり、IR会場ではラスベガスにあるような施設や屋外空間エンターテインメントステージと一体化するリアルショータウンの「リトル・ドウトンボリ」「ドウトンボリタウン」を出現させる構想もある。

道頓堀商店会とJTBは、道頓堀を世界的な観光地へと発展させるため「エリアマネジメント分野の連携に関する協定」を結んだ。
18年には食とエンターテインメントの発信拠点「道頓堀スクエア」をオープン。中座くいだおれビルの地下1階にインフォメーションセンターと劇場である「道頓堀ZAZA」を開設するなど、商店会が中心となって道頓堀の「ルネッサンス」は動き始めている。
道頓堀はインバウンド頼みから脱却し、新たなエンターテインメント性を浸透させることができるか。万博、IRといった大型投資で、大型施設の開業が控える大阪の将来を占うことになりそうだ。