全海外旅行者の1%が富裕層 現地消費額の13%、4.7兆円を消費 富裕層観光のポイント!

インバウンド消費8兆円のカギとなる富裕層旅行者の市場規模や特徴は? JNTOの調査結果から見えてきたこと

(やまとごころ 2019年7月22日)
 
 
全海外旅行者の1%の富裕層が、現地の消費額全体の13%に当たる約4.7兆円を消費しているという。
富裕層は一般に「資産額が1億円以上」と定義されるが、JNTOでは、飛行機代を除く「1回の旅行で1人100万円以上の消費をする層」と位置付けている。
どのような旅行コンテンツならば富裕層を取り込めるのかの指標も示されているが、「富裕層に人気になった食べ物や体験が、一般のマス層の憧れとなり、数年後には広く普及するのは定石だ」という点から、観光コンテンツを考える必要がある。
 
【ポイント】
今年1月の政府の観光戦略推進会議では、有識者からゴルフツーリズムの提案がなされた。
滞在型かつ体験型であるゴルフツーリズムは、通常の旅行者よりも支出が2倍以上と多いコンテンツ。
日本政府観光局(JNTO)の市場横断プロモーション部長の伊東和宏氏による基調講演「富裕旅行市場の解明と攻略の手がかり」
 
一般に富裕層は「資産額が1億円以上」と定義される場合が多いが、JNTOでは、飛行機代を除く「1回の旅行で1人100万円以上の消費をする層」と位置付けている。
米豪及びイギリス・フランス・ドイツの5市場をみると、全海外旅行者の1%の富裕層が、現地の消費額全体の13%に当たる約4.7兆円を消費している。
 
衣食住すべての面で最高級を志向する従来型の「Classic Luxury」(5つ星ホテルに3つ星レストラン、飛行機はビジネスクラス以上と旅行に関わる全ての項目で高額消費をいとわないAll Luxuryタイプ)と、単なる贅沢よりも本物の経験を志向する「Modern Luxury」(ホテルは5つ星を好むが飛行機はエコノミーでも構わないといい、自分にとって優先度が高いものに重点的に投資するSelective Luxuryタイプ)の2つの富裕層タイプが存在する。
欧米豪市場の中でもアメリカを中心に20代~30代のModernでSelectiveタイプの富裕層が増加傾向にあるという。
富裕層が求める観光コンテンツ作りに抑えておきたい7つの指標
富裕層も新旧さまざまで多様化する中、どのような旅行コンテンツならば富裕層を取り込めるのか。単に料金が高額かどうかだけでなく、富裕層のニーズに応えたものになっているか見極めが必要となってくる。
JNTOは3つの評価軸と7つの評価指標を示した。
評価軸は「コアバリュー」「バリュー提供の工夫」「商品性」の3つ。「コアバリュー」では、①日本ならではの価値、②他にはない価値かどうかで評価する。「バリュー提供の工夫」では、③価値に精通したプロフェッショナルによる体制・対応、④融通が利く体制・対応があるかで評価する。「商品性」では⑤たやすく手に入らない、⑥高価である、⑦世界的な格付けがあるかで評価する。
一例として、一般的な陶芸工房体験と日本刀鍛冶場体験を7つの指標で評価比較したものを掲出。同様にホテルや飲食店についても7つの指標を基に、富裕層向けの観光コンテンツとして魅力的であるか比較検討することが可能。
 
富裕層旅行が数年後のマス層のトレンドにもつながる
富裕層に人気になった食べ物や体験が、一般のマス層の憧れとなり、数年後には広く普及する現象は定石だ。
②他にはない価値、⑤たやすく手に入らない、など富裕層向けの観光素材を整備することで、数年後の旅行トレンドを作り出すことにつながる。
料金について、日本では安くすることが良いサービスだと考えるが、⑥良いものは高価なのが当たり前。地元在住の日本人と外国人の料金が違っても当然と考える。
JNTOのWEBサイトでは新たにラグジュアリー専用ページを開設し、今後はドバイをはじめとする中東地域、中国の富裕層マーケットに注力したい考えを示した。
 
2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えている。
大会期間中、一般観光客はホテル高騰のため東京を避けたり、訪日そのものを控える傾向が出てくると予想され、インバウンド客をいかにうまく地方へ誘導するかがカギとなる。
 
JNTOが推進するスポーツツーリズムの中には、ゴルフも含まれる。富士山を見ながらゴルフできたり、珍しい地元の食材をランチで食べられたり、プレイして楽しかったと富裕層自身にSNSで発信してもらうなどの工夫も必要。
富裕層の7割はゴルフ経験者と言われ、富裕層とゴルフの相性もいい。ゴルフツーリズムを活用して官民一体となって、インバウンド富裕層の地方誘客を促進したい。
 
 
日本ゴルフツーリズム推進協会(JGTA)が6月28日に開催した富裕層×ゴルフツーリズムセミナーをレポート。