中国の国慶節に訪日した中国人20万人 フリープランで体験を嗜好!

中国人20万人が国慶節で訪日、爆買いやめて何にお金を使ったか

(ダイアモンドオンライン・『東方新報』 2019年10月31日)
訪日中国人観光客も確実にコト体験に移行しているようだ。
ショッピングにはそれほど行かず、美術館や博物館巡り、日本文化の体験を楽しむ。
親子同伴者は公園や動物園、科学館、海洋館などを訪れ、アニメ好きはアニメ展覧会やグッズを購入し、日本の芸能人好きはコンサートを追っかける。
中国人観光客も個人旅行へ移行し、フリープランで自由行動をするという。日本の若者とほぼ同じ嗜好を持ち行動するようだ。
【ポイント】
大手ネット旅行サイト「携程(シートリップ)」によると、2019年の国慶節期間中に海外旅行をした中国人は約700万人。日本が20万人を超え首位に輝いた。
日本で消費した額は1人平均1万元(約15万円)を超えている。だが爆買い客は減り、中国人観光客は日本のどこを訪れ、何にお金を使っているのか。
5歳の子どもの母親の話。夫の仕事の関係でかつて東京で1年間暮らしたがあるが、日本語はほとんど話せない。日本は親子旅行がしやすいと思い、毎年2~3回は日本を訪れ、毎回数週間滞在している。 
滞在中、ショッピングにはそれほど行かず、趣味の美術館や博物館巡りや、子どもと一緒に公園や動物園、科学館、海洋館などを訪れる。
行先は、旅行サイト情報を得ることはあまりせず、駅のカタログなどを見て生情報を取るようにしている。食事は「味覚については個人差が大きい」として、グルメ情報誌などは見ない。「日本のレストランの大部分はおいしい。適当に近くの食堂を探す。そのほうがサプライズをもたらしてくれる」という。

日本アニメが好きな20代のグラフィックデザイナーは、かつて日本に留学したことがあり、その際、アニメ好きな友人たちと知り合い、1年に8~10回はアニメの展覧会に行っていた。中国に帰国してからも毎年2~3回は日本を訪れ、毎回6~8日は滞在している。
訪れる場所はほとんど同じ。アニメ展覧会を見て、秋葉原巡りをする。アニメ展がないときは、秋葉原のアニメ関連の有名店でアニメグッズの新商品の販売予定をチェック。気に入ったものがあれば、すぐに予約し、後日、日本にいる友人に商品を取りに行ってもらう。
時間に余裕ができれば、アニメの「聖地」に巡礼し、アニメのシーンと同じような写真を撮影し、ウィーチャットなどで、友人と楽しみを分かち合っている。
日本で消費するお金は約18万円。アニメ展で6万~8万円、アニメのフィギュアや関連グッズ、漫画などで7万~8万円、残りは友人たちとの食事などに費やす。ホテルは使わず、友人宅に泊めてもらうことで、宿泊費を浮かせている。
日本の芸能人のファンだった方は、ファンクラブのメンバーの呼びかけで初めて日本を訪れ、コンサートを見に行った。目の前に現れた芸能人の姿に感激し、他のファンと忘れられない夜を過ごした。
その日から熱狂的な追っかけとなった。
毎年5~6回は日本のコンサートに来て、その芸能人がテレビドラマに出演すると情報を得ると、すぐに日本の撮影現場へ飛んでいく。また日本各地のコンサートを全て見に行った。
毎月のように日本に来ており、そのたびにコンサートやグッズ購入などで数十万円を使っている。

1990年代に関西に留学し、その後、日本で働き、2003年に中国へ帰国した。
京都で宇治茶店を経営する業者と知り合ったことがきっかけで、今では中国人旅行客を連れて京都の日本茶文化の体験を案内をしている。
「中国の大都市では、日本茶などの日本文化が好きな人が多く、日本茶教室や同好会などを結成して頻繁に交流をしている」。中国では多くの伝統文化が逸失しているが、京都には中国のかつての伝統に近いものが残されており、多くの中国人はそこに魅力を感じているという。
毎回10人程度で訪日し、多くは30~40代の女性。経済的に余裕がある人が多い。
彼女たちが求めるのは、日本茶や禅などの伝統文化の体験を通した精神的な満足感やリラックスであり、それほど多くのお金を必要としないものが多いという。
抹茶体験1200円、お寺での座禅体験1500円、お寺での精進弁当2500円など。講師による指導付きの玉露茶体験は少し高く1人1万円。

紹介した4人の中国人は、訪日観光客のマジョリティーではないかもしれないが、今後のトレンドの先頭にいる。近い将来、中国人観光客のニーズは、団体旅行から個人旅行へ移行し、買い物から文化や趣味の体験へ、大都市から地方へと変化していく。ツアー参加者の多くは自由に行動できるフリープランを選ぶという。
ショッピングは、国境を越えたネット通販で日本の商品も容易に入手できるため、今後もさらに下がっていく。

上海で貿易業を営む方が初めて日本を訪れたのは2015年。日本各地の水源地を調査し、今は日本の天然水を中国で売るビジネスを行っている。日本との関わりが深まるにつれ、日本文化への関心が高まっている。
訪日観光客のリピーターが増えるに伴い、「体験」へのトレンドの変化は確実にある。日本の観光産業がこうした需要の変化をとらえることができれば、中国人観光客数は今後も安定的に続いていくだろう。

※『東方新報』は、1995年に日本で創刊された日本語と中国語の新聞。