海外は撮影可能な美術館が多い 日本でも広がりつつある「撮影OK!」

“おっかなびっくり”広がる美術館での「撮影OK」

(産経新聞 2019年11月19日)
 
 
日本の美術館では撮影禁止となっているものが多いが、ルーブル美術館をはじめ海外は撮影可能な美術館が多い。
美術館で撮影が許可されない理由は、①著作者の死後70年は「著作権者」の許可なく画像公開ができない。②シャッター音などを嫌う人もいる。③絵画は年間照射の「光の量」が定められており、フラッシュが負担をかける。という。
日本でも、常設展を中心に撮影可能な美術館も増えているようだ。
訪日観光客から『なぜ撮影できない』とクレームを受けることも増えているという。
撮影禁止を前提とした広報の組み立てではなく、撮影可能を前提にした組み立てでの検討を望みたい。
 
 
【ポイント】
「写真撮影OK」の美術展が、日本国内でも増えている。
だが会場をのぞくと、慣れないせいか、「注意されるかも」とおっかなびっくり撮影する人が目立つ。
パリのルーブル美術館やロンドンの大英博物館、ニューヨークのメトロポリタン美術館など、海外では入館者による展示作品の撮影が普通に行われているのに、日本では「撮影の自由」が浸透しない。
 
あべのハルカス美術館の「ラファエル前派の軌跡展」。赤いじゅうたんを敷いたエリアに掛かっている25点が撮影可能だ。ミレイの「結婚通知-捨てられて」やロセッティの「ムネーモシューネー」、ハントの「シャロットの乙女」など、同派を代表する画家の作品が並ぶ。
ルーブルに行ったときは撮影できたけれど、日本で撮影するのは今回が初めてと、
スマホで撮影していた方は「『こんなん見てきたよ』と友達にメールも送れる。もっとこうした機会を増やしてほしい」という。

日本でも、国立西洋美術館(東京都)、和歌山県立近代美術館(和歌山市)など、常設展示作品を中心に撮影可能な美術館も増えている。
パリのルーブル美術館をはじめ海外には撮影可能な美術館が多い。そのため、「外国からのお客さんに『なぜ撮影できない』とクレームを受けることも多い」という。
 
これまで日本の美術館で写真撮影が許可されなかった大きな理由は、「著作権」「会場運営」「作品保全」の3点とされている。
著作者の死後70年は著作権者の許可なく不特定多数に画像公開ができない。
会場運営の面からみると、鑑賞者のなかにシャッター音などを嫌う人もいてトラブルになることが危惧される。
絵画は年間に当ててよい光の量が定められていて、フラッシュをたくと作品に負担をかけることになる。

「ラファエル前派の軌跡展」は出品作品が19世紀のものが中心で、著作権の条件は満たしている。さらに、「室内に写真撮影が可能なエリアがあります」という立て看板を入り口に掲げるなど告知をしたり、鑑賞者が撮影する際、近寄りすぎて作品をいためないように高さ30センチほどの結界をひもでつくったり、と対応をとって一部作品を撮影可能にした。

それでも、来場者は「鑑賞されている方にお邪魔じゃないか」「シャッター音が失礼にならないか」と心配そう。どことなく気まずく「自主規制」しがちになるという。
ツイッターの投稿では、この写真は撮影可能だった、ということわりを書き込んでいるものがほとんど。
撮影する側も展示する側も、「トラブル」を恐れておっかなびっくりという状態が続く。

来場者アンケートには、撮影が鑑賞のさまたげになるという声もある。
「『ラファエル前派』と聞いても作品がイメージできない人たちにはSNSがその手助けになる。せっかくのこうした撮影機会を、ぜひ活用してほしい」と撮影を歓迎している。