京都市のホテル、相次ぐ新規開業で稼働率と宿泊価格が低下! 

京都のホテル稼働率と価格低下 相次ぐ新規開業で、保有ホテル売却も

(京都新聞 2019年11月27日)
京都のホテル業界は、宿泊客数は増加する一方で客室稼働率の低下が続くという。新規開業が相次ぎ、旅館や簡易宿所を合わせた許可施設の客室数は3年間で1.5倍、18年度末で4万6千室。市内主要ホテルの客室稼働率は、15年の89.3%から18年は86.4%に下がったという。
新規開業ホテルの「値下げキャンペーン」が、宿泊価格を押し下げているとの指摘もある。
【ポイント】
京都のホテル業界に異変が起きている。宿泊客数は増加する一方、宿泊施設の相次ぐ開業で客室稼働率の低下が続く。新設ホテルの「値下げキャンペーン」で価格競争が激化しているとの指摘もある。
収益悪化の懸念から、保有ホテルを売却する動きも出始めた。

京都市内では、2014年に外国人宿泊客数が183万人と前年比約1・6倍に急増。
恒常的な「客室不足」からホテルの宿泊料が上昇した。投資会社なども参入し、ここ数年は新規開業が相次いでいる。
京都市の観光客数は15年をピークに微減に転じる一方、宿泊客数は増加し、18年は1582万人に達した。ところが、宿泊事業者からは「稼働率が下がっており、料金も下げざるを得ない」と悲鳴が上がる。
旅館や簡易宿所を合わせた市内許可施設の客室数は3年間で約1・5倍に増え、18年度末時点で約4万6千室。空前の開業ラッシュが需給バランスに変化をもたらした。
市内主要ホテルの客室稼働率は、15年の89・3%から低下を続け、18年は86・4%だった。
「高価格帯より、新規ホテルと市場が重なる1泊約1万1千円程度の施設に影響が大きい」という。

施設増は、収益と直結する客室単価にも影響している。
全国にホテルを保有するいちごホテルリート投資法人は10月、河原町三条に近い中京区のホテルを売却した。同法人の顧問は「競争激化による短期的リスクを考慮した」説明する。
売却したホテルの9月度の平均客室単価は9213円で、15年同期から2割超下がった。新設ホテルが開業当初に行うキャンペーンが価格競争につながっていると指摘。「新しいホテルが既存施設並みの価格を提示されると、こちらも値下げせざるを得ない」とこぼす。

価格競争に加え、人手不足を背景とした人件費や客室清掃委託費の上昇も、ホテルの収益を圧迫。今後も開業予定のホテルは多く、事業者の中には「東京五輪後に淘汰が始まる」との見方もある。
「共栄」から「競争」へと向かう京都のホテル業界。
来月、コンセプトホテルを含む複合施設を開業する京阪ホールディングスは、需給バランスの崩れに懸念を示しつつ、「これから生き残るには場所や特徴がキーになる」と差別化の必要性を強調した。

京都市は宿泊施設の急増を受け、中間取りまとめで「観光公害」の解決に向けた、進出抑制につながる関連手続きの見直しを盛り込んだという。
こうした行政の方向転換が、今後のホテル展開にどう影響するかも注目される。