大阪は“粉もん”だけじゃない「食い倒れの街」の新組織発足!

新組織で「食い倒れ」の街をパワーアップ、大阪の味は“粉もん”だけじゃない

(ビジネス+IT 2020年1月28日)
 
 
大阪市の飲食店の、訪日客の平均消費額は131ドル(約1万4,000円)で、東京の202ドル(約2万2,000円)を大きく下回っている。
マスターカードの世界渡航先飲食費ランキングでは、ドバイがトップで、8位に東京が入ったが、大阪はランク外だという。
大阪を訪問した訪日客の食事は、ラーメン(77%)、たこ焼き(58%)、うどんやそば(41%)。これに対し、ミシュラン星レストランや割烹、料亭はわずか3%という。
大阪は「安くて美味しい」が人気の源泉でもあり、「粉モン」以外を強調するあまり、偏った大阪の食の発信には注意が必要だ。
 
【ポイント】
大阪商工会議所と大阪観光局は、訪日外国人観光客に大阪の高級料理を売り込む「食創造都市大阪推進機構」を発足させた。
大阪市を訪れる訪日客は、お好み焼きやたこ焼きなど単価の安い「粉もん」料理に人気が集中し、飲食費単価が東京などより少ないため、「食い倒れ」の街大阪のブランド力向上も図ることが目的。
大阪ミナミの黒門市場は、新鮮な食材を食べ歩きするため、訪日外国人が長い列を作っている。
黒門市場は新鮮な肉や海産物などを扱う150店以上が並び、古くから市民の食を支えてきた。訪日客がミナミに殺到するようになってから、食べ歩きの外国人でいっぱい。まるで大阪の食を楽しむテーマパークの様相を示している。 
ミナミには料亭や高級レストランがたくさんあるが、訪日客の足が向かうのは大阪名物のお好み焼き、たこ焼き、うどんなど粉もんが中心だ。 
大阪を訪れる訪日客数は年々増えている。大阪観光局によると、2019年は前年の1142万人を上回る1200万人の突破が確実。日韓関係の冷え込みで韓国人客が夏以降、減少したものの、中国人客の大幅増加で全体を押し上げた。 
しかし、訪日客の飲食費単価は他の都市に比べ、かなり低い。大商によると、2018年に訪日客が、大阪市の飲食店で支払った平均額は131ドル(約1万4,000円)で、東京の202ドル(約2万2,000円)を大きく下回っている。 
マスターカードがまとめた2017年の世界渡航先飲食費ランキングでは、トップのアラブ首長国連邦のドバイをはじめ、タイのバンコク、フランスのパリ、米国のニューヨークなど世界の主要都市が上位を占め、東京が8位に入った。しかし、大阪はランク外だ。 

大阪観光局が、2018年に大阪を訪問した訪日客約4000人の食事について聞いたところ、77%がラーメン、58%がたこ焼き、41%がうどんやそばと答えた。これに対し、ミシュランの星を獲得したレストランや割烹、料亭はわずか3%にとどまっている。 
大阪にも世界の富裕層を相手に商売できる高級店がたくさんある。
しかし、安くておいしいというイメージがあまりにも浸透したため、東京ほど高級店に足を運ぶ訪日客がいない。 
こうした現状を打開しようと考えられたのが、高級料理を含めた多彩な食の情報発信を一元的に進める「食創造都市大阪推進機構の」創設だ。
大商の尾崎裕会頭と大阪観光局の溝畑宏理事長が共同代表に就任した。事務局は当面、大商と大阪観光局で分担して進めるが、将来は専任の事務局を置くことも検討する。 
事業は、澤田充氏をプロデューサーに、辻調理師学校の辻芳樹校長、あまから手帖の門上武司編集顧問らをアドバイザーに迎え、官と民双方の視点で進める。 

具体的には、大阪の料理人が世界的なネットワークを築くのを支援するとともに、大阪の料理人と世界の超一流シェフが連携したポップアップレストラン、将来が有望な料理人の独立開業支援、舞洲で計画されている統合型リゾート(IR)への世界的レストラン誘致などが視野に入っている。 
3月には大阪市内でキックオフシンポジウムと世界の超一流シェフがコラボするポップアップレストランの開催を予定している。大商は「発信力のある有名シェフや美食家とネットワークを構築し、海外の富裕層に粉もん以外の大阪の食事を売り込みたい」と力を込めた。 
東京や京都では単に高級料理を提供するだけでなく、付加価値を加えて特別な食体験をアピールする店が登場している。高級料亭の食事に着物の着付けとプロのカメラマンによる撮影会を加えたり、寺社の一角をプライベート空間にしておもてなししたりするサービスだ。 
訪日客にとっては、日本でしか味わえない「非日常」の世界で高級料理を堪能することができ、一生の思い出になる。付加価値を加えることで一度の食事に数十万円もの大金を支払う海外の富裕層もいるという。 

「遊び感覚を取り入れた食の提供で付加価値を高めることが必要になる。洗練された雰囲気で東京の一流店と競うのではなく、庶民的な大阪らしさを追求しながら高級料理を堪能できる演出をできるかが、成功の鍵を握る」と提言する。