新型ウィルスによる世界各地の観光産業への影響は甚大となる見込み【外電】

世界各地の観光産業の新型ウィルスによる影響を整理した、分かれる回復時間の予測 【外電】

(トラベルボイス 2020年2月11日)
 
新型ウィルスによる、世界最大の旅行市場を占める中国の影響は甚大なようだ。
航空会社30社が、2月第1週だけで2万5000便ほど中国路線の運航を取りやめた。中国のホテル稼働率は1月最後の2週間で75%に急落した。
春節期間に75%がアジア諸国を訪れており、国人旅行者からの収入の減少は甚大で、アメリカへの中国人旅行者は28%減の200万人に落ち込み、航空券も含めた旅行関連の消費は前年よりも60億米ドル減少すると見ている。
世界旅行ツーリズム協議会は、世界の旅行者数が元に戻るのはウイルス発生後19ヶ月かかるという。
【ポイント】
AP通信が、新型コロナウイルスが世界の観光に与える影響についてリポートしている。
旅行に出かけるはずだった何百万という人たちが家に留まり、その損失は数十億ドルに及ぶ恐れがある。

航空データを提供するOAGによると、航空会社30社が中国路線の運航を取りやめ、2月第1週だけで2万5000便ほどが運休した。
ホテルのデータ分析会社STRによると、中国のホテル稼働率は1月最後の2週間で75%に急落した。
日本と香港では、2隻のクルーズ船が足止めされ、計7000人以上が船内から出られない状態だ。

新型コロナウイルス発生以前、世界観光機関(UNWTO)は、今年の世界観光の成長率を3〜4%と予測。世界の旅行者数は前年の15億人を上回る見込みを示していた。
その成長予測も中国の旅行市場の継続的な成長が前提だ。中国では世帯所得の増加によって海外旅行ブームが到来。2018年の海外旅行者数は約1億5000万人で、海外での消費額は2770億米ドルに拡大したと見られている。

中国人旅行者の減少はアジア諸国で深刻になっている。通常、春節期間に75%がアジア諸国を訪れているからだ。
香港と上海のディズニーランドの閉鎖が2ヶ月続けば、1億7500万米ドルの損失になる
タイは、今年6月にかけて中国人旅行者から得られる収入は97億米ドル減少する可能性がある。
航空会社は運休を続ければ、損害はさらに大きくなる。データ・コンサルティング会社は、今年、中国線の運休によるアメリカの航空会社の損失額は16億米ドルにのぼると試算している。

クルーズ会社もピンチだ。カーニバルとロイヤルカリビアンがキャンセルした中国航路クルーズツアーは約20に及ぶ。
多くのクルーズ会社が、出港の14日前に中国あるいは香港に滞在していた旅行者は乗船させないとしており、その影響は数千人にのぼると見込まれる。
マイアミのロイヤルカリビアンは、現在までのキャンセルによって2020年の売上の1%を失うことになると試算。中国での旅行規制が2月下旬まで続けば、その損失額は倍になる見込みだ。
オーストラリアは中国からの旅行者の受け入れを禁止。IHS Markitによると、昨年のオーストラリアへの中国人旅行者は140万人、その消費額は134億米ドルで、最大のインバウンド市場になっている。今回の入国禁止措置は、山火事被害で大きな損失を出しているオーストラリアにとって、さらに大きな痛手だ。
イタリアでは今年50億米ドルを損失すると見込まれ、Tourism Economicsによると、アメリカへの中国人旅行者は28%減の200万人に落ち込み、航空券も含めた旅行関連の消費は前年よりも60億米ドル減少すると見ている。

回復時間については分析が別れている。Tourism Economicsは、2003年のSARSを例にとり、アメリカへの中国人旅行者が以前のレベルに戻るには4年かかると見る。また、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、世界の旅行者数が元に戻るのはウイルス発生後19ヶ月かかるとの見立てだ。
ForwardKeysは、774人が死亡したSARSの場合とは異なる点もいくつかあると指摘する。SARSは中国、ベトナム、香港、シンガポールに限られていたが、メディアは東南アジア全体にウイルスが蔓延していると伝えた。