ポイント還元の登録加盟100万店超 キャッシュレス決済の普及は広がるか?

ポイント還元、登録加盟100万店超 キャッシュレス定着には課題も

(産経新聞 2020年2月11日)
 
キャッシュレス決済に伴うポイント還元制度の加盟店が100万店を超え、制度の対象となる中小店舗の過半数がキャッシュレスに対応したという。
ただ、今年6月にポイント還元終了後、キャッシュレス決済が使われ続けるかは不透明だ。9月からはマイナンバーカードを使ったポイント付与策も始まる。
現金のコストは年間1兆円を超えるともされ、経済効率を考えても、キャッシュレス比20%弱という日本の比率を上げることは重要だ。
 
【ポイント】
消費税増税に合わせて始まった、政府のキャッシュレス決済に伴うポイント還元制度の加盟店が100万店を超えた。
制度の対象となる中小店舗の過半数がキャッシュレスに対応したことになり、昨年は日本の「キャッシュレス元年」になったと喜ぶ関係者は多い。
この勢いを持続させられるかには課題もあり、“キャッシュレス後進国”の汚名返上へ、今年は勝負の年になりそうだ。
ポイント還元が始まってからキャッシュレス決済は政府の予想を超えて広がった。ポイント還元に必要な予算が不足する懸念から、政府は令和元年度補正予算で約1500億円を追加措置するなど、経済産業省は嬉しい悲鳴をあげる。

ただ、今年6月にポイント還元が終わった後も、キャッシュレス決済が使われ続けるかは不透明だ。
大和総研の長内智主任研究員も「ポイント目当てで始めた人は多く、ポイントという『アメ』が無くなっても持続できるかが焦点だ」と語る。9月からはマイナンバーカードを使った新たなポイント付与策も始まるが、普及率が低い同カードでどれだけの効果が得られるかは未知数だ。

重要なのは「利用者が現金よりもキャッシュレス決済の方が便利だと実感できているか」
QRコード決済などの場合、スマートフォンでアプリを立ち上げて決済する手間を「面倒だ」と感じている人も少なくない。残された期間で、決済事業者が顧客をつなぎ留める新たなサービスを打ち出せるかがポイントとなりそうだ。
今回のポイント還元の対象は中小店舗のみで、大型店でキャッシュレス決済がどれだけ広がるかは見通せない。

昨年7月の「7pay(セブンペイ)」で不正利用が発覚するなど、キャッシュレス決済への不信感も根強い。
偽札が少なく現金自動預払機(ATM)が充実するなど現金の利便性が高いことも、これまでキャッシュレスが進んでこなかった要因といわれており、人々の長年の習慣を変えることは容易ではない。
事業者の乱立も利便性の観点からは課題だ。キャッシュレスの推進は、キャッシュレス決済が当たり前の訪日外国人対策でもあったが、日本独自のサービスが多く、外国人が来日して手軽に使える環境は整っていない。

現金を維持するためのコストは年間1兆円を超えるともされ、20%弱と低い日本のキャッシュレス比率を上げることは経済の効率化という観点でも重要だ。
日本は現金への高い信頼性やデジタル経済への不信感を持つ人が今も多く、海外のようにすぐにキャッシュレス決済比率が高まるのは難しいだろう。