スマート観光での「観光広場」トーク

日本で最も信頼できる観光団体の1つとして知られているNPOスマート観光推進機構は、関西だけで観光名所を宣伝することを目的としています。

この地域により多いの人々を招き、彼らのニーズを満たすという使命を持ちながら、本組織は継続的に拡大し、より革新的な活動を探しています。

そこで、スマート観光は2015年8月1日に「観光広場」トークの発起を努力の一環として、関西の観光の現状や、魅力を促進させることを目指しています。

スマート観光:関西観光を向上させる賢い方法

期待の高い関西観光

史上初のセミナーである「期待の高い関西観光」には、観光地域振興課・観光庁の局長の吉田正彦氏と、元京都市観光政策局長の清水孝一氏が出席しました。

今回のセミナーでは、関西観光の強化に向けたビジョンなど、今後数年間に必要となる施策について、メンバーとゲストが自分の意見を発表しました。これは、大阪、京都、神戸、奈良のある関西地方を世界に紹介することで実現し、観光客が日本文化を探求したり、受け入れたりすることができるのは東京だけではないことを証明しようとします。

2020年オリンピックを目指したインバウンド事業と同様のグローバリゼーション戦略

最初のセミナーが成功した後、スマート観光は2015年9月9日から10日までの2日間続いた「2020年オリンピックを目指したインバウンド事業と同様のグローバリゼーション戦略」と題した第2回目の講演を行いました。

この分野の専門家と駐日大使としてのLee Yong-soo氏は、関西のインバウンドの重要性についての見通しと、観光客を魅了して日本に滞在するための日本酒についての知識を共有しました。

日本の多くの地元民は結婚しない勢いがあり、それは国の全体の人口に影響を与え、また経済の低下につながります。

したがって、このような状況では、適切な宿泊施設、観光バス、通訳を提供することにより、国内、特に関西でのインバウンドを活用することが重要です。

Lee Yong-soo氏はまた、インバウンド観光客の平均人数が2015年に2000万に達し、今後数年間で3000万人に達する可能性が非常に高いと述べました。

そのほかには、外国人がこの国に長期間滞在するように、彼らに日本文化を薫陶して、文化的活動と観光スポートを開発することも必要であると述べました。

例えば、日本酒は他国では味わえない日本人ならではの風習です。それゆえ、外国人に日本酒の製造過程、さまざまな品質、成分などに関する知識を宣伝することで、外国人の心を魅了するためのリソースを割り当てることが重要です。

関西インバウンド施策

このセミナーは2015年10月7日に、執行役員、広報部門と新関西国際空港株式会社の総監督のKoji Ishikawaさんをゲストスピーカーとして開催されました。

「関西インバウンド施策」セミナーは、関西国際空港の現在の状況と、インバウンド観光を強化する可能性のある戦略を探索することを目的としています。

2015年の日本へのインバウンド観光客の割合の上昇と同様に、2014年の航空旅客数も2000万人に急増しました。国内線の乗客の数でさえ、最大の程度まで増加しましたが、国際的な外国人の乗客が約699万人急増したことも記録されました。

したがって、観光のこの急増に対応し、乗客に最高の体験を提供するためには、観光客に提供されるサービスによる規定を広げて強化する必要があります。

このイベントでは、次のことが行われます:

  • 新しい自動チェックイン機
  • 空港のブースでのセキュリティ検査の強化
  • 入国審査所で大量の乗客に対応するための追加の自動ゲート
  • 新規無料Wi-Fiサービスの強化
  • 優先レーンの設置
  • 追加のホテルと観光バスはできるだけ早く実施されます。

Koji Ishikawaはまた「これらの規定が順調に履行された場合、関西空港は今後数年間で日本一の空港として認識される可能性が高い」と述べました。

訪日ムスリムへのおもてなし

NPOスマート観光推進機構は2015年11月2日に、国内のイスラム教徒の観光客に対する団結と歓待を促進するために、「訪日イスラム教徒へのおもてなし」セミナーを開催し、国内でイスラム教徒を増やすために適切な行動について議論しました。

調査によると、2030年にこの国を訪れるイスラム教徒の観光客は約26%増やす見込み。しかし、多くのイスラム教徒は文化の違いや見方から、日本を旅行先の1つと見なしていません。

そこで、シーサイド株式会社のMotoyasu Miyakeさんとともに、違いのある場所で安心・居心地を感じることを優先させています。

イスラム教徒の信念と日本の伝統の違いに対処するために、彼らは宗教で豚肉を食べることが禁止されているので、このニーズに特に応えるイスラム向けレストランを提供しました。

これらのムスリム向けレストランの設立により、日本を旅行先の一つとして選ぶことで、より多くのムスリム観光客を魅了する大きな機会となるでしょう。

一方では、彼らの信仰を尊重するため、関西空港と提携し、社交の場、礼拝所、ホテルなど、キブラの看板を配した荘厳な場所を提供します。

関西の観光に関する大規模な交流会

スマート観光のハードワークを祝うために、道頓堀ホテルで開催された大規模な交流会に参加者全員がゲストとともに参加し、「スマート観光推進機構」の最新プロジェクトを発表しました。

2015年の実りある一年を迎えるため、大阪経済大学客員教授と訪日大使のLiさんは心温まるオープニングスピーチを行い、その後関西国際空港と石川株式会社の取締役兼執行役員Miyakeさんはインスピレーションを与えるスピーチを発表しました。

イベントは関西運輸局観光部チームが参加した日本の伝統的な祝杯で終わり、なにわ名物開発研究会の会長であるYake Gakuen Hasegawaの閉会の挨拶で閉幕しました。

スマート観光:2016-2019出来事

Googleを使用して地域を活性化できますか?

昨年2016年1月8日に開催された「Googleを使用して地域を活性化できますか?」というテーマの第5回観光オープンスペーストークに集まったさまざまな部門の70名の参加者とスマート観光メンバーは今年の最初の週を祝福しました。

このイベントでは、参加者は世界でのGoogleの大きな影響に取り組みましたが、世界の人口の30億人がインターネットとGoogleサービスを使用しています。

したがって、この機会を利用するために、スマート観光はGoogleを利用して地域の観光スポットを見つけながら、関西の未来を見ています。

また、毎月10億人がGoogleを利用し、日本のさまざまな場所について調査が行われたこともわかりました。この国で最も頻繁に検索されているキーワードは、食べ物と観光です。

テクノロジーは今後数年間で進歩し続けるため、これらのサービスを活用して常に公衆の目に見えるようにすることがますます重要です。

GourNaviインバウンド施策

147,000店舗を提供し、1か月に5,200万のユニークビジターを獲得したGournavi Appの存在により、外国人はAppの幅広い選択肢の中から好みのレストランや店舗を簡単に選択できることに気づきます。

しかしながら、このAppには利用可能な日本食レストランや料理がたくさんありますが、外国人はさまざまな日本食や食材を理解することに苦労しています。

そのため、スマート観光は2016年2月5日、「Gournaviインバウンド戦略」セミナーを開催し、最新のインバウンド戦略について議論しました。店の料理と食材に関する英語の翻訳を提供し、不慣れな地域での外国人の心配を和らげる一般的な情報が含まれます。

このビジョンを念頭に置いて、より多くの観光客がGournavi Appを利用し、関西でお気に入りのレストランを選ぶことを推薦します。

インバウンド観光への挑戦

世界は進歩し、変化に直面し続けているため、楽観的な気分を保ち、業界に取り残されないように現在の傾向を把握することが重要です。そのため、スマート観光は2019年4月8日に31回目のセミナーで、インバウンド観光の課題について話し合いました。

今回のイベントはホテルセントラルグループの山田秀典社長が率い、タイから日本への旅を共有し、関西の観光を継続的に推進するために組織が取り組まなければならない必然的な変化について話しました。

 

第31回『観光のひろば』

「労働者の町から 旅行者の町へ 」(講演概要)
〜新今宮のビジネスホテルが築いたインバウンド観光への挑戦〜
ホテル中央グループ代表取締役社長 山田 英範 様 (平成31年4月8日)

山田さんは大学時代、バックパッカーとして訪れたタイ・バンコクのカオサンで人生が変わったといいます。その後、オーストラリアにも1年8ヶ月留学し、2005年から父が経営する簡易宿泊所の仕事に就きます。

かつての新今宮は“日雇い労働者の街”として繁栄していました。バブル崩壊後、労働者が減少、生活保護者の街に変貌、200件あった簡易宿泊所組合員も約60件に減ってしまいます。これまでの日雇い労働者の職安機能を持つ“労働センター”も、携帯電話の登場で、仕事を探す方法が変わり、若者が寄り付かなくなったといいます。
労働者は高齢化し、店舗のシャッターが閉まり、活気のない街に変貌します。

そのような時、東京のアメフトの学生が安宿を探しており、1500円の宿泊費に喜び、簡易宿泊所の新しい活用法のヒントをつかみます。インターネットが登場した時代でしたが、日本語のホームページをいち早く開設したところ、日本人ビジネスマンが宿泊するようになり、日本語が分かる韓国や台湾の若者が利用するようになり、ホームページの多言語化にも取り組まれます。
新今宮の魅力は何と言っても交通アクセスが良いことです。そして新今宮に宿泊するのは団体旅行者ではなく個人旅行者でした。

このような時、帰国した山田さんは、「新今宮に活気を取り戻すため」には外国人を増やすことだと気付き、簡易宿泊所でインバウンドに取り組む「OIG委員会」に参加。阪南大学の松村先生と出会います。外国人向けパンフレット作成や、ホームページの作成、外国人旅行者アンケートと活動されます。2004年のホテル中央グループの外国人宿泊者は1万泊弱でしたが、2007年には5万泊にも増えたといいます。

また数年前まで、旅行誌「ロンリープラネット」を抱えて旅をする人がほとんどでしたが、最近は見ないといいます。スマホの普及が旅行形態を変え、ネット予約を増やしました。ネットで宿泊場所を探す人は“点数”と“レビュー”を見ます。この評価をいかに高めるか。それは「接客が一番」です。設備が良くても、たった一度の接客で最低の評価も受ける場合もあるといいます。
地道な努力の結果、2013年にトリップアドバイザーのベストバリューで4位にランクします。

2000年後半には、外国人が8割、日本人が2割という時代を迎えます。しかし2009年、リーマンショックで為替が80円に急騰し、外国人旅行者が激減します。また2011年、東日本大震災・福島原発問題でも外国人旅行者が急減します。昨年の台風で関空が閉鎖された時も大きく減少しました。
来阪外国人は2013年から急増していますが、ホテル経営のリスクヘッジを考えると、外国人旅行者に偏るのは良くありません。ホテル中央グループでは外国人50%、日本人50%の比率を貫いているといいます。

今、新今宮が大きく変わろうとしています。「星野リゾートのホテル建設」も今年着工し、2022年に開業されます。外国人向け職業施設「グローバルハブ恵美」も今年できます。また「なにわ筋線」も2020年に着工し、2030年ごろに開業されます。

かつて“労働者の町”だった新今宮。バックパッカーを中心に多くの外国人観光客が利用している新今宮。様々なインバウンドの取り組みにより“旅行者の町”に変貌させた歴史を持ちます。

かつて、タイ・バンコクのカオサンで感じた「活気とエネルギーが溢れる街」を、新今宮に創るべくこれからも努力したいと講演を締めくくられました。

第31回『観光のひろば』(山田)チラシ.pdf
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『地方で個人が自らインバウンド集客の装置になるAirbnb体験』

NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之
(平成31年 2月22日)

中西さんは、奈良でカフェを経営され、無料で宿を提供する世界的団体「カウチサーフィン」で60ヶ国から200人を宿泊させる経験をお持ちです。また世界のブロガー10数名を集めた「グローバル トラベル ブロガー サミット」を開催され、大阪、神戸、広島を巡られたといいます。「カウチサーフィン」で宿泊されるのは、医者や弁護士などステータスの高い方が多いといい、コミュニケーション密度を高めるほど、国境を越えて深い人間関係ができたといいます。
そのような原体験を持つなかで、2018年2月にAirbnb体験の説明会があり、「運命の出会い」を感じたといいます。2017年に日本全国で「Airbnb」の宿泊者は585万人で、訪日外国人の2割に相当します。その宿泊者が申し込みをする時、体験も紹介されるため利用者が多いといいます。
インバウンド向け体験サイトも増えましたが、Airbnbではガイドと言わずに「ホスト」と言い、ホスト個人の顔が見えるところが優れています。

昨年3月末から、奈良でサイクリング体験のホストをしてきましたが、利用者は39カ国1101人にのぼります。内訳はアメリカ334人、オーストラリア184人、中国120人の順になります。
2019年1月末のAirbnb体験ホストのランキングで、レビュー数437(1位は1226)、評価点4.92となり日本の14位になりました。今年中には5位になりたいと語られました。
「Airbnb体験ホストはガイドではない」と何度も話されました。相手が望むものを察し「感動を提供」すること。2時間の体験より、ドキドキワクワクの2時間にすること。観光案内より、日常会話のたわいもない話の方が感動を生むとも話されました。
そもそも訪日客は下調べをしていない、日本に来てから行き先を決めるそうです。メジャーな観光地に行くというより、その情報しか手に入らないので、その地に行くだけとのことです。日常の日本を知りたいとの要望が強いようです。
ホスト体験で感じたことは、①家族連れが多い、②学生が多い、③アジアからカナダやオーストラリアへの移民が多い、④お金持ちが多い(時にはチップやプレゼントをくれる)。従来の観光は、海外の代理店と日本の代理店を経由するが、今は、旅行者とホストが直接連絡を取り合う。これは「観光革命」が起こっているのだと感じているとのことです。
Airbnb体験でよいレビューをもらうには、1に写真、2に写真、3に写真、それから説明文章。ストーリーをつけて満足度をあげること。少しでも驚きを与え感動を与えることです。

Airbnb体験はまだまだ参入地域が少ないので地方にもチャンスがあると語られました。
Airbnb体験を始めるに当たって、①ほとんどノーリスク、②やるなら徹底的に(中途半端にやらない)、③体験の遥か上の価値を提供することが大切です。Airbnbは20%の手数料を取りますが、この20%には1億円の保険も含まれているので安心です。
自分の体験で胸を張って言えるのは、①インバウンドに喜んでもらって ②自分の好きなことをやって ③地元に貢献できて ④英語が上達できて ⑤精神的にメンタルも鍛えられて ⑥効率よく収入が得られて ⑦世界中に友達の輪が広がること。

何かあればいつでも相談に乗りますよと話をまとめられました。

当日の講演スライド資料

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『 鉄道と観光 〜インバウンド推進の真の意義〜 』(講演概要)
(平成30年12月12日)

第29回『観光のひろば』は40名の方にお集まりいただきました。

参加された方にとっては、とても満足度が高く、意義のある講演だったと絶賛いただきました。

もっと多くの方にお聞きいただきたかった講演でした!

【ポイント】
今回の『観光のひろば』は、スルッとKANSAIを設立し、鉄道業界にイノベーションを起こされた横江友則様にご登場いただきました。大阪メトロを今年ご卒業され、一般社団法人グローカル推進機構を設立し、第二の人生を歩まれています。その横江様に『鉄道と観光』、そして、これからの人生の生き方をテーマに語っていただきました。

いきなり出てきた言葉は「逆風の時には空を飛べ!」でした。

「スルッとKANSAI」の設立からICカード「PiTaPa」の誕生まで、逆風とイノベーションの連続であったことが思い起こされる講演でした。

大手民鉄16社の輸送人員は、1991年101億人6千万人をピークに減少していました。
そのような時の1995年に阪神淡路大震災が起こり、鉄道も寸断されました。この時、阪急は神戸から御影まで、阪神は御影から梅田まで輸送することが可能でした。この時、乗り換えをスムーズにするために阪急御影駅の改札機を改造し、阪神の定期を乗れるようにしたことから「阪急・阪神共通定期」を思いつかれたといいます。
これは顧客視点では1枚の定期券で乗れる電車の本数が倍増することにつながり、鉄道会社としては少しの投資で複々線化が実現できることにつながります。キャッチコピー「行きは阪急・帰りは阪神」だったそうです。

1996年、「スルッとKANSAI」は大阪市交通局、阪急、阪神、能勢電鉄、北大阪急行の5社局からスタートしました。(2018年4月64社局)
ここに壁が登場します。鉄道営業法(1900年制定)に「運賃ノ支払ヒ乗車券ヲ受クルニ非サレハ乗車スルコトヲ得ス」とあり、磁気カードの残額が初乗り運賃を下回れば乗車できないとの解釈が立ちはだかりました。関西のお客様は「残額があるのに乗車できない」ことに苦情を言います。また相互乗り入れしている鉄道会社は初乗り運賃も異なります。鉄道営業法をよく読むと「別段ノ定アル場合…」とあり、運輸省と交渉を重ね、鉄道会社の約款に「残額がある場合は乗車できる」と書き込むことにより許可が得られた。顧客視点に立った価値創造だったといいます。このことがその後のPiTaPaを実現するための試金石になったそうです(10分後の後払いと一月後の後払いは定性的に同じ)。

鉄道・バスは、お客様にとっては「手段」であり、目的は通勤通学、観光などにあるとして、乗り放題の「3dayチケット」が誕生します。2001年には外国人向け乗り放題チケット「KANSAI THRU PASS」として販売し、このことにより海外販売が伸びるという結果を導きます。この発想が、電車・バス1日乗り放題で観光スポット35箇所無料の「大阪周遊パス」の開発につながります。2017年には年間120万枚が利用されたといます。

これまで鉄道会社の自社沿線にとどまっていた需要が、連携することにより、マーケットが全国に、世界に拡大したということにつながりました。鉄道事業は基本的に変動費は小さく殆んどが固定費であるので、収入の増加がほぼ利益の増加につながります。関西の鉄道はインバインド効果もあって、2002年を底に上昇に転じ増収増益を更新しています。

鉄道会社では、上司の承諾がなかなか得られず意思決定が遅いのですが、スルッとKANSAI協議会では、各社経営陣で構成する理事会でミッションを統一し、目的別ワーキンググループの設置の承認を受け、各社から参加したスタッフの中で検討が進められて、企業の中堅・若手に実質的に意思決定を委譲する仕組みが作られました。異なる社風の集合体だからこそ柔軟な発想を持つことができたともいいます。
「“Win-Lose”→“Win-Win”」「競争から共創へのパラダイムシフト」と横江様は語られました。

2000年にJR東がICカード乗車券の開発に着手します。当時、ICカード化することを目的とした検討会もありましたが、ICカードは手段であり目的ではないとして、磁気カードで実現できなかった価値の向上のためのICカード化に向けた検討が始まります。
お客様のご要望は、①他の交通機関でも使いたい、②コンビニなど店舗でも使いたい、③精算機を使いたくない、④回数券の種類が多すぎる、⑤プレミアをつけてほしいなどがあり、これらをローコストで実現させる方法として、銀行口座に紐付いた「ポストペイ」に行き着きます。
そして、2004年8月ICカード「PiTaPa」がスタートしました。

さらに、お買い物にポイントを付与することにより、運賃負担が下がる「ショップdeポイント」サービスもスタートします。百貨店のエレベータが利用代に含まれる(タダ)ように、鉄道・バスの料金も、飲食・物販の利用代に含めることにより交通費を実質的にタダにして鉄道を「都市のエレベータ」にしていくという発想です。
また、お子様の改札機通過や登下校の情報を保護者にメール配信する「あんしんグーパス」というサービスも付加され、今もお客様を増やし続けています。

2013年、ICカードの全国相互利用が始まりました。全国の鉄道・バスがICカードで乗車できる時代を迎えました。今ではほとんどの人が交通系ICカードを持つといいます。さらなる利便性向上を期待したいものです。

今、インバウンドが増えており日本の公共交通も利用されています。しかし電車・バスの混雑や、マナー問題、オーバーツーリズムの問題も顕在化してきています。
インバウンドの方々が訪日されるのは、日本という国土の魅力です。しかし国土の魅力だけでなく、日本は平和だから、安心だからと73年たまたま平和な世の中が続いていますが、この事実を持って今後の平和が担保されるものではありません。一人ひとりのインバウンドの方々に対する意識が後世に平和を紡ぐことになる。インバウンドに携わる人だけではなく、全ての国民がこの趣旨を共有して海外から期待人を迎え入れて、“平和の使者”としてお帰りいただくことが、インバウンド推進の真の意義であると熱く語られました。

この観点で「世界の人々と日本の地域の人々が相互に交流することによって、日本に対する真の理解を推進し、地域と地域交通の発展と、世界平和に貢献する」というミッションを持った「一般社団法人グローカル交流推進機構」を2018年に設立されました。
横江様は専務理事として、ここで第二の人生を歩まれます。ご活躍を応援してまいりたいと思います。

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奈良少年刑務所ホテル化計画と、これからの奈良観光を学ぶ(レポート)

『観光のひろばin奈良』

〜 奈良少年刑務所のホテル化計画と、これからの奈良の観光を学ぶツアーのレポート〜

日時:平成30年10月13日

近鉄奈良駅に13時集合、奈良県庁の屋上から興福寺や東大寺などを眺望しました。明治の廃仏毀釈により、興福寺や東大寺の敷地が国に召し上げられ、それが奈良公園になったとか。

奈良の位置関係を学んでから、本ツアーの目玉「奈良少年刑務所」に向かいました。

14時に「奈良少年刑務所」に到着。上地支所長様から丁寧なご説明をいただきました。

・ 26歳未満の初犯の者に手に職をつけさせることも目的とした696名収容の刑務所だった。
・ レンガ造りの建物の全てと、木造建物の一部が重要文化財に指定されている。
・ 江戸時代の牢屋と、明治時代の刑務所を展示として残す計画。
・ 全国7カ所の少年刑務所の一つで、明治41年に竣工した山下啓次郎設計による「明治の五大監獄」の一つ。敷地は10万㎡以上。
・ レンガ造りの刑務所は地上2階建の独居房、3人部屋、雑居房、作業場などからなり、放射状の形状を取るのは、少ない人数で監視(夜間は2名で監視)できるように放射状にした。また、半地下部に風呂施設が設けられている。
・ 明治時代、外国との不平等条約を解消するためにも、刑務所の近代化に力を入れた。
・ 平成28年度末に閉鎖。平成29年コンセッション方式で運営権をソラーレ ホテルズ&リゾーツ(株)など8社に売却。今後、建物の耐震補強や改装をして、2021年春にホテル等の複合施設をオープンさせる計画。(契約期間は30年+30年)
・ 2019年10月に史料館をオープン。
・ ホテル転用後に、近接する鴻ノ池運動公園などを含めた奈良市北西部の観光振興を図るため、奈良県と奈良市、法務省は包括連携協定を結んでいる。
・ 設計した山下啓次郎氏は外国の施設を視察し、外国でも標準的だった放射状の形状のものを設計。

広大な敷地、広大な煉瓦造りの建物と圧倒されました。建物中央の監視所を中心に放射状に配置された2階建の棟があり、通路の中央が鉄格子。1階も2階も監視できるように作られた異次元を感じる建物でした。
牢獄は狭く、収容されている人はかなり圧迫感を感じそうです。内部は洗面、トイレ、小窓があり、入口の扉も頑丈で、当然内部にはノブがありません。間仕切りレンガの厚みは200mmを超えており、簡単に脱出できるような構造ではありません。
江戸時代の牢獄が保存されているのにも驚きました。何処にあり、どのように使われたかは不明ですが、西郷隆盛が遠島になった牢獄を彷彿させる建物です。江戸時代の牢獄と明治時代の近代的になった牢獄との差に不平等条約解消への意気込みを感じさせるものを感じました。

1時間少しの見学を終え、次の見学場所「吉城園」に移動しました、
「吉城園」は興福寺子院の摩尼珠院があったものが、明治期に民間所有となり、大正8年に現在の建物と庭園が造られた後、奈良県の所有となったそうです。
隣接する知事公舎とともに富裕層向けの宿泊施設の計画があるといい、現在、知事はここを退出されているそうです。隈研吾のプロデュースで、2020年の春にまちびらきさせるようです。

最後は県庁の東側のバスターミナルの工事現場でした。敷地8655㎡に3階建ての建物。展示施設やレクチャーホールも備えた広大な施設で、単なるバスターミナルではありません。ここを起点に周辺にバス網ができると素晴らしいアクセスが期待できそうです。
宿泊施設の計画も次々に浮かんでおり、このバスターミナル、少年刑務所などがリンクする新しい奈良の観光の姿を見せていただくことができました。

奈良県まちづくり推進局の竹田博康所長さま、素晴らしい計画のお話をありがとうございました。

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181013奈良ツアー(案内)スマカン.docx
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パネルディスカッション

『インバウンド観光 関西は、一つずつ』

関西観光本部事務局長 森 健夫 氏

京都市:京都市産業観光局 観光MICE推進室 観光戦略課長 西松卓哉 氏

大阪市:大阪市商店会総連盟理事長 千田忠司 氏(中央区商店会連合会会長)

神戸市:有馬温泉 瑞泉御所坊主人 金井啓修 氏

奈良市:NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之

コーディネーター:NPO法人スマート観光推進機構副理事長、

関西ベンチャー学会理事

清水宏一 (元・京都市観光政策監)

清水:関西の観光連携は、京都、大阪、神戸の三都物語から始まっています。

言葉についても、関西には「関西弁」という定義はなく、京都は「京都ことば」、大阪は「大阪弁」といい、それぞれの特徴のあるのが関西の特徴です。

それでは京都、大阪、神戸、それに奈良に加わってもらってご意見をお聞きいたします。

千田:「大阪ミナミの挑戦 時代を先取りしたミナミの努力 モノからコトへ」のお話をさせ

ていただきます。商店会も最盛期の1/3に商売人が減っています。

「何とかせなあか ん」との思いで集客活性化に取り組み、2000年に「人づくり・まちづ

くり・モノづくり」+文化の再構築を始め、2007年にインバウンド対策に取り組み「銀聯

カード」を導入、2010年に「多言語指差しシート」を導入しました。5年前に黒門市場で

「食」をSNSで発信しようと取り組みが始まり、3ヶ月で今の賑わいを作りました。こうし

た地域ネットワークの集大成として「大阪活性化事業実行委員会」を立ち上げ、商店

会や企業、行政が連携して観光振興に取り組むため、2017年に国土交通省の「地域

DMO」の候補法人にも登録されました。今後、「大阪万博」や「IR」の活動にもつなげて

いきたいと思っているところです。

最後に皆さんにお願いしたいのは、大阪市の「ふるさと寄付金」です。この寄付金の「経済振興関係」に寄付をいただいて、商業振興に活用させていただきたいと思っています。

http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000006525.html

金井:神戸市は1981年の頃、「風見鶏の館」ブームやポートピア開催により、神戸は日本

の憧の観光地になりました。しかし、当時の神戸市観光白書に「有馬温泉は神戸観

光のお荷物」と書かれていたそうです。

有馬の泉源は地下200mから97℃湯が沸いています。六甲山の標高は932m、有馬の標高は400mで、海抜200mから温泉が湧いていることになります。塩分濃度は神戸港で3%。有馬の湯は6%。世界一塩分濃度が高い湯になります。関西に火山はありません。98℃の湯は、有馬温泉の地下60kmから沸いています。

人間の塩分濃度は1%。海水が3%、それより塩辛い6%が有馬の湯。「せっかく有馬の湯に来たのでと長湯すると、浸透圧の影響で“湯あたり”を起こす」これが有馬の湯です。

また、泉源から汲み上げるパイプは3〜4日で交換しなくてはならない、高コストの温泉でもあります。

一昔前、高級旅館とリゾートホテルがよく対比されました。高級旅館に行っても、朝は布団を引っ剥がされるし、食事も指定時間に強制的に食べさせられるとの悪い評判がたったのが、日本中の温泉旅館でした。

そのような時期、休業していた古い旅館を改装し、新しいコンセプトの宿を作りました。すると人が来るので、古いお店を改装した手焼きの煎餅屋さんができ、お好み焼き屋が昔風にリニュアルして、客を呼び込む人気のスパイラルが起こって、インバウンドが来る現在の有馬温泉になりました。

京都や姫路は欧米豪の比率が高く、有馬はアジア比率が高いですが、京都・有馬便や姫路・有馬便のバス路線を増やしてもらい誘客に努めているところです。

山椒使用した料理を日本料理の世界で“有馬煮“とか”有馬焼“と言われています。その有馬山椒が無くなっていたので、兵庫県や神戸市、近郊の農村とで有馬山椒の復活プロジェクトを行っています。スローフードインターナショナルに絶滅危惧種の認定を受け、有馬山椒をキーに六次産業化にも取り組んでいます。

神戸は、150年前に開港した程度の歴史しかない街ですが、六甲山の水にはラジウムが溶け出し放射線が含まれるので殺菌効果があり、赤道を越えても腐らなくて美味しいというのが「神戸ウォーター」です。また、伊丹の日本酒もこの六甲の水を使っています。またこの水力を使って精米したから美味しい日本酒ができています。

神戸市で日本遺産に認定されているのは「北前船」だけですが、これに「日本酒発祥の地の伊丹」、有馬に行く道「湯山街道」とともに、六甲山を核としたストーリーを作って、「世界遺産」の登録を狙っています。

西松:京都市観光は、2001年に「観光客5000万人計画」で観光客を増やす計画から、2008

年に5000万人を到達、2010年には量を増やす戦略から転換、経済だけでなく、都市

のブランドにも効果があるMICEにも力を入れた観光戦略を策定しています。2014年に

は「感動の先を目指す」目標を持ち、観光消費額も1兆円に目標をおき、国際会議の

世界のランキングも目標を定めて取り組んでいるところです。

インバウンドの増加で、外国人宿泊者数も確実に伸びてきているところではありますが、H29年は無許可民泊への宿泊も110万人と推計されるなどの課題もあります。H29年の観光消費額も1兆1268億円あり、京都市民の年間消費支出の約78万人分、人口の53%に相当しているので、観光の効果も正しく市民に認識してもらう必要があると考えています。

京都観光を取り巻く課題は、マナー問題、観光客の集中と混雑、観光の経済効果が広く行き渡らないなどあり、観光振興計画も見直したところで、今まで以上に「市民生活と観光との調和」が強く求められているところです。

観光客の混雑では、“季節の分散”として「花灯路」のような閑散期への誘客があり、“時間帯の分散”としては「朝観光」や「夜観光」があります。“場所の分散”では、昔、最も観光客が多かった「大原」などへの誘客に取り組んでいく必要があると認識しています。

「バスの混雑」も市民生活に影響が大きいので、ホテルにスーツケースを送る「手ぶら観光」や、市バスの「前乗り後降り」の取り組みを今年度から実施致いたします。

民泊については、家主居住型の民泊は推進していく考えですが、違法民泊は許さないという姿勢を示しているところです。

MICE戦略も、世界遺産二条城をレセプション会場に活用してもらったり、参加者へのノベルティに伝統産業のものを使ってもらう取り組みも進めています。

市長は「京都は観光都市ではない」と申しており、神社仏閣だけでなく茶道・花道など、「文化」を守る取り組みを進めないと、持続可能な観光が守れないとしているところです。

「景観」についてもH19年から高さ規制、デザイン規制、眺望景観・借景の保全、屋外広告物の規制、歴史的街並み保全などにも取り組んできたところです。屋外広告物規制では、四条通りの看板が激減しており、セブンイレブンなどの看板も落ち着いた配色に変えてもらうなど効果も出てきています。

課題解決に向けては、10月から導入される「宿泊税」を原資に活用してまいりたい。

清水:これから先の関西の観光のチャンスについて語っていただきたいと思います。

森 :これから先の関西のチャンスは「万博」です。日本人も当然来ますが、外国人を増や

すチャンスです。外国人をどのようにして引っ張ってくるか皆で知恵を出し合いたいと

思います。

IRについては、いろいろ議論がありますが、大きな会議場ができるのであればMICEの話にもつながってきます。

千田:来年からいろいろなスポーツイベントに世界中から来られるので、このビジネスチャ

ンスを活かさなければならない。そのため商店会の個店が努力をしなければならない

と考えているところです。その先には万博やIRもあり、「商都大阪は変わりますよ」と発

信していきたいと思います。

清水:別府温泉のような宣伝の取り組みは有馬では行わないのでしょうか?

金井:六甲有馬ロープウェイは赤字で困っていますので、シースルーにする提案をしまし

た。

六甲ライナーの窓ガラスを、住宅街を走っている時は見えないようにして、眺望の良いところに来たら透明にする窓にしたら面白い。クラウドファンディングを行ない、ニーズ調査ができると神戸市に話していますが、「年寄りが怖がったらどうする」など、神戸市が心配しているので革新的な取り組みは難しいと思います。

清水:文化庁が京都に来ますが、何かチャンスになりますか?

西松:地元として強く要望してきたので、絶対に成功させなければならないと考えています。

京都には現場がたくさんあるので。京都に来たから、これまでできなかったことができたというように持っていかなければならないと考えています。

文化庁には関西の自治体からも出向されている職員が大勢おられるので、京都に止まらず、関西全体に貢献できるような取り組みもできるものと思います。

清水:今日のシンポジウムで感じられたキラーコンテンツは何かありますか?

森 :道具屋筋商店街で、商店街をあげて取り組んで来られた内容を知りませんでした。こ

れを関西観光本部でも、インバウンドに伝えないといけないと感じたところです。

また、金井さんのシースルーなロープウェイ提案も面白いので、実現に期待いたします。

清水:サイクリング体験を通じて感じられた、外国人と日本人の感性の違いはいかがです

か?

中西:日本人の良さでもありますが、遠慮したり、気遣いしたりするところは、外国人にはま

ずありませんね。自己主張が一番強いのはインド人だと私は感じています。

清水:オーバーツーリズムや手ぶら観光について、大阪で取り組まれていることはあります

か?

千田:南海電鉄に手荷物の預かり所を要望して作ってもらいました。荷物を持つお客様は

買い物をしないので、いかに手ぶらにするかが重要です。空港からホテルに荷

物を送る取り組みも要望しているところです。

最近、京都で着物を着る外国人が増えましたが、着物の着方が教えられていない。京都でも、この点をしっかり取り組んでいただきたいと思います。

清水:着物の件ですが、あの業者は全て中国の業者です。

森 :関西観光本部でも、本当の着物の着方を見せる取り組みが必要と話している所で

す。

清水:京都市バスの「前乗り後降り」の仕組みはどうなっているのでしょうか?

西松:前乗りで料金を払って、降車地でそのまま降りる方式です。バスは前輪のところが狭

くなり降りるのに時間がかかってしまうので、後からだとスムーズに降りることができ

ます。

清水:大阪は食の都ですが、ハラールの方への表示どのようになっていますか?

千田:厳密な「ハラール」と言われると飲食店も取り組めませんが、「ムスリムフレンドリー」

として食材などをシ—ル表示して、MAPを作って5年ほど前から取り組んでいま

す。

ただ「ハラール」の規制を恐れて、「ムスリムフレンドリー」取り組み店がさほど増えていないのが実態です。

インドネシアでも豚肉以外は問題ない方も多く、「ムスリムフレンドリー」で十分ではないかと思っています。

清水:有馬温泉でのハラールの取り組みはいかがですか?

金井:元々ムスリムは人前で裸を見せないので、温泉に入りに来るはずはないと思っています。それでも来る人は、それほど厳格ではない。料理も、豚肉を出さなければ基本的に問題ない人が多いと思っています。今までの経験でシーフードのお好み焼きを出せば大丈夫と思っています。

清水:近隣諸国を回る旅行はビザやパスポートが難しいと思いますが、どうでしょうか?

森 :近隣諸国を回る旅行はビザやパスポートについては外務省にお願いしているところ

です。

今の所はプランとして見せることに注力しています。

事例報告 『インバウンド向けサイクリングへの挑戦』

NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之

自身がサイクリング体験を始めるなかで感じたのは、インバウンド向け体験教室に「アソビュー」など数々ありますが、「エアビー(Airbnb)」の体験が一番だと思っている。

2017年に日本全国で「エアビー」で宿泊した人は585万人で、訪日外国人の2割に相当する。

東京180万人、大阪162万人、京都67万人が利用されているが、提供される体験は、東京443件、大阪153件、京都175件、広島は6件にすぎない。インバウンドの半数が広島に行くといっているのに体験は少なすぎる。

私のサイクリング体験(約5ヶ月)に参加した人は826人。うち309人がレビューを書いてくれて、「平均4.9」の評価をいただいている。アメリカ、オーストラリア、中国の順に多い。

サイクリング体験を始めて得られたことは

①自身のメンタルが鍛えられたこと(5ヶ月で35カ国の外国人を1ツアー10名まで案内しているが、「良かった」との評価を受けていくなかでメンタルが鍛えられた) ②続けることで勝手に英語が上達する ③副収入が得られる(私の場合、サラリーマン時代の月収を超えた) ④世界中に自分を受け入れてくれる家族のような存在ができる ⑤インバウンド観光経済(柿の葉寿司、ほうじ茶のペットボトル、レンタル自転車)に貢献して、地域活性化の一翼を担えている。

インバウンド誘致が難しい地域でも、誰か一人が「エアビー」の体験を始めれば、その地域が変わるかもしれない。その醍醐味を伝えていってほしいとの思っている。

サイクリング体験で気付いたことは

①家族旅行が多い ②学生が多い(学生もお金持ち) ③アジアからカナダやオーストラリアの移民が多い ④予約のタイミングはバラバラ(1時間前から半年前まで) ⑤お金元が多い(高収入の職業、チップやプレゼントをくれる)

今、観光革命が起こっている。

これまで旅行代理店が観光客とガイドをつないでいたが、「エアビー」の体験は、「エアビー」が仲介しているが、“旅行者”と“ガイド”の直接的なやりとりになっている。だから個人的な思いが深まる。ただトラブル対応もあり、しんどさとともにリスキーな面もある。

「エアビー」の体験は組織で登録できない。個人だけが登録できるシステムをとっている。

良いテーストの写真がないと掲載が許可されない。また「エアビー」が20%の手数料を取るが、この20%には1億円までの保険も含まれているので、決して高いと思わない。

自分の体験で胸を張って言えること

①インバウンドに喜んでもらって ②自分の好きなことをやって ③地元に貢献できて ④英語が上達できて ⑤精神的にメンタルも鍛えられて ⑥効率よく収入が得られて ⑦世界中に友達の輪が広がること。

何かあればいつでも相談に乗りますよと話をまとめられました。

スライド資料

180829(中西)観光シンポ.pptx
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基調講演
『オール関西でインバウンド誘客を! ~広域連携DMO「関西観光本部」の取り組み~』

関西観光本部 森 健夫事務局長

一般財団法人関西観光本部は、関西の10府県と4政令市、経済団体、観光団体、事業者、国の地方支分部局などが参画し、関西全域へのインバウンド誘客する、関西唯一の「広域連携DMO」として、2017年4月に設立された団体です。

主な取り組みには、海外プロモーションとインバウンド受け入れ環境の整備、インバウンド向けICカード「KANSAI ONE PASS」や、関西広域で使える「KANSAI Wi-Fi」アプリ、地方都市向けの機械翻訳による「コールセンター」、そして「関西文化の日」などの文化振興の取り組みがあります。

全国の2017年の訪日客は2869万人のうちアジアが2434万人(84.8%)。関西では1207万人のうちアジアが993万人(82.3%)になり、アジアの観光客が多い。また、関西といっても大阪府の1111万人と京都府の742万人(宿泊客数は大阪府1171万人、京都府559万人)。ほとんどが大阪市と京都市に集中しています。アジア比率が高いといっても京都府は42%、他は80%近い数字で一律ではありません。

旅行消費額は、全国の4兆4千万円に対し、関西は1兆8千万円です。

政府の2020年の目標、訪日客4000万人は関西で1800万人になり、「インバウンドで地域経済を活性化する」という目標に向かっていくのが関西観光本部です。

2025年には万博がやってくる可能性があります。また、2020年は東京オリンピックがあり、2019年にはラグビーW杯、2021年はワールドマスターズゲームズ関西とスポーツ競技が目白押しですが、これらの行事で訪日客が自然と増加するというのは幻想で、これらのチャンスに日本の良さをしっかりPRすることだと捉えています。

また2021年に「文化庁」の京都移転が完全に完了します。この文化庁移転も「文化」と「観光」をつなげる重要な仕事です。

関西広域で取り組む必要性は、「世界に通じる京都」と「アジアに人気の大阪」というコンテンツを中心にしながら、関西一円にいかに巡ってもらうかという点にあります。京都・大阪に来たお客様をプラスワン、地域を巡ってもらう戦略を考えているところです。

訪日客の集中による問題も懸念しています。訪日客にとっては「宿泊施設の確保が困難」であり「混雑による満足度が低下」する懸念。住民が直面する問題として「違法民泊も含めた住環境の悪化」や「公共交通機関の混雑」などへの懸念。そして“熱狂のあとに残るもの”が、「訪日客の減少」や「住環境の荒廃」であってはならないと考えています。

とはいっても、関西全体をどのように振興していくのか? 関西全体の名の下に始まる悪平等を排しつつ「京都、大阪を巻き込んだ関西ブランドを確立」、「広域連携団体間のプラスワン連携」や「海外の都市とのプラスワン連携」にも取り組みたいと考えています。

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【関西観光本部の森 健夫事務局長】

【有馬温泉 陶泉 御所坊 金井啓修様】

【大阪市商店会総連盟理事長の千田忠司様】
のお話をお聞きしてきました。

8月29日のシンポジウムでもかなり突っ込んだお話が聞けると思います。
お楽しみにお出でください!
【関西観光本部の森 健夫事務局長にお話をお聞きしてきました】
森さまは多くの経歴をお持ちですが、観光面では関西広域機構(KC)に始まり、関西広域連合や現職の関西観光本部(H29年4月設立)の立ち上げに関わってこられています。またワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会にも関わっておられます。

観光の組織は、従来は行政の下請けのような組織であったものから、民間のノウハウを活用した官民連携の必要性を訴え「関西観光本部」を立ち上げるに至ったそうです。しかし官民連携の組織といっても、各組織の歴史や風土から一枚岩になるのは簡単ではなく、確実に「できるものからやっていく」と語られました。
観光の組織も大きく変遷している最中ですが、組織の変遷から見る本音もお聞かせいただけそうです。

「関西観光本部での実績としてはインバウンド向けICカード「KANSAI ONE PASS」がありますが、今回は組織の壁を超えたカードを作ることに腐心した。このカードをさらに進化させるには、利便性をあげる必要がある。またこのカードは3千円という手に取りやすい価格から販売を始めたが、インバウンド向けという視点からは、安価だけでなく、利便性を高めながらアッパー層向けの商品もあってもいいのではないか」とのお話でした。

バックパッカーの訪日客を増やすことも大切だが、アッパー層向けのサービスにも取り組みたいと語られていました。

※ 関西観光本部は関西の各府県・政令市・経済団体・観光団体など官民62団体による広域連携DMOとして2017年4月に設立された。関西全域へのインバウンド推進を目的とし、誘客方策の方向性を示した「KANSAI国際観光指針」をまとめた。指針では2020年に関西への訪日外国人訪問率を現状の40%から45%に高める目標を掲げている。

【参考資料】
関西圏における観光統計総合分析の結果について(2018.08.13)

http://kansai.gr.jp/ktb/wordpress/wp-content/uploads/2018/08/○関西圏における観光統計総合分析参考資料.pdf

【有馬温泉 陶泉 御所坊 金井啓修様にお話をお聞きしてまいりました】

梅田からバス1時間で有馬温泉に到着。その中心部にひっそりとたたずむ木造の宿「御所坊」の金井啓修(かないひろのぶ)様をお訪ねしました。

有馬温泉は、阪神淡路大震災により102万人にまで落ち込んだ観光客を平成28年には169万人にまで回復させたといいます。その立役者の金井様は観光庁の「観光カリスマ百選」にも選ばれておられます。

大阪からの直通バスも増便され、京都からの直行便もできて来訪者は増加傾向。私たちが乗車したバスも満席でした。乗客の半数は訪日客で、外国人は確実に増えているそうです。

有馬の源泉は1600万年前の地層が隆起したもので、世界的にもユニーク。1400年の歴史を持つ有馬温泉とともに訪日客の誘因にもなる。また周辺の三田市などと連携して「湯山街道」を日本遺産として申請したい。また日本遺産を目指している、灘五郷の日本酒や北前船と連携して、最終的には世界遺産の登録を目指したい。

今は、「有馬山椒」の復活に取り組まれています。

「スローフードの魅力と、絶滅危惧種としての付加価値を発信することで、成熟したグルメ客や旅行者が有馬の名前を自然に広めてくれる」と金井さんは語られました。

【参考記事】

『すごいすと取材記』 (一社)有馬温泉観光協会 金井啓修さん  兵庫県

http://www.hyogo-intercampus.ne.jp/sugoist/interview/kanaihironobu

【千田会長にお話をお聞きしてまいりました】

8月29日のシンポジウムでもかなり突っ込んだお話が聞けると思います。
お楽しみにお出でください!

大阪の訪日客はアジア系、それも圧倒的に個人旅行者が多い。大阪のホテル稼働率は90%を超えている。
ミナミの千日前道具屋筋商店街も訪日客でごったがえしている。
たとえば、商店街の包丁専門店。1本あたり2万~30万円の包丁がよく売れているという。

千田さんが商店街振興組合の理事長を引き受けられたのはバブル崩壊後の1994年。「もう内需だけではダメだ。世界中にファンを作って観光都市として進化しなければ」と決意したといいます。
当時、関空に到着した訪日客は大阪を素通りして京都に向かっていた。「大阪が訪日客にウエルカムであることを伝える」必要があるとして、「銀聯カード」などいろいろな取り組みをしてきた。
17年には「大阪活性化事業実行委員会」が国交省の「地域DMO候補法人」にも登録されている。

今、大阪は「万博」に向けて一丸として誘致に取り組んでいる。
IR(カジノを含む統合型リゾート)も他人事ではいけない、当事者意識を持つ必要がある。
夢のある話もたくさん聞かせていただきました。
シンポジウム当日、千田節が爆発して新しい取り組みが聴けるものと思われます。

1時間以上お時間を頂戴しましたが、ワクワクする内容でした。

【参考記事】
訪日客が殺到!老舗商店街のスゴい「仕掛け」 〜数万円の高級包丁が飛ぶように売れるワケ〜
(東洋経済ONLINE 2016/02/24)
https://toyokeizai.net/articles/-/105945
『関西のインバウンド観光を見つめ直す』 〜関西は、一つずつ〜

開催日時:8月29日(水) 午後1時半~4時半
開催場所:大阪大学中之島センター 佐治敬三メモリアルホール (定員:100名)

基調講演:『オール関西でインバウンド誘客を!』
一般財団法人 関西観光本部 事務局長 森 健夫 氏
事例報告:『インバウンド向けサイクリングへの挑戦』
NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之
パネルディスカッション:『インバウンド観光 関西は一つずつ』
関西観光本部事務局長 森 健夫 氏
京都市:京都市産業観光局 観光MICE推進室
観光戦略課長 西松卓哉 氏
大阪市:大阪市商店会総連盟理事長 千田忠司 氏
(中央区商店会連合会会長)
神戸市:有馬温泉 瑞泉御所坊主人 金井啓修 氏
コーディネーター:関西ベンチャー学会理事
NPO法人スマート観光推進機構副理事長
清水宏一 (元・京都市観光政策監)

参加費:1,000円
(スマート観光推進機構、関西ベンチャー学会の会員は無料)

申込み:下記のサイトからお申し込みをお願いいたします。
URL: https://kankou1.peatix.com

『“秋津野ガルデン”と“ぶどう山椒”を訪ね、”いなみかえるの宿”に農家民泊する旅』

(8月4日〜5日)

(宿泊9名、日帰り4名)

昨年10月に開催した「ぶどう山椒・キミノーカ・湯浅を訪ねる旅」がとても好評でした。また今年4月、『観光のひろば』で「秋津野ガルデン」の講演も好評だったことから、『“秋津野ガルデン”と“ぶどう山椒”を訪ね、”いなみかえるの宿”に農家民泊する旅!』を企画し、行ってまいりました。

大阪を8時までに出発したのですが、事故渋滞に4回ほど会い2時間近い遅れのスタートでした。
“秋津野ガルデン”は廃校となる小学校を地域住民で買い取り、農家レストランや宿舎、加工品生産などの拠点として運用され、年間6万人、売上げ1億円以上という地域活性化の拠点になります。玉井常貴社長さまから「地域のことは地域が考える」がポイントとのお話をお聞きしました。

日経プラス1(2018年7月14日)の『郷愁の廃校、食や湯も満喫』ランキングで、『秋津野ガルデン』が堂々の1位でした!
http://agarten.jp

次に“かんじゃ山椒園”にお邪魔しました。ぶどう山椒は和歌山県が日本一の産地だそうです。
ここ“かんじゃ山椒園”の永岡冬樹代表は、ぶどう山椒の生産から加工品生産、販売と努力されている姿を見ることができました。NHKの“ためしてガッテン”や“うまい”に紹介された名店です。
http://www.sansyou-en.com

夜は、農家民泊「いなみかえるの宿」での交流会からスタートしました。手作りのお料理に舌鼓を打ちながら、民泊の方でも深夜まで語りつくしました。やはり“交流の深さ”は“時間”に比例します。宿の方ではそれぞれお土産も用意されており、満足度の高い“おもてなし”を受けました。
5日も“いなみかえるの宿”の辻井 修会長、庄田登紀美前会長に同行いただき、印南町について、より深い理解を得ることができました。
「いなみかえるの宿」は、教育旅行を受け入れる「印南町教育旅行誘致協議会」です。
旅館2軒を含め約50家庭で、最大80名の受け入れができます。農業体験や農家民泊、観光を融合したものを目指しておられ、平成29年度は、海外からの教育旅行152名、国内の教育旅行149名、外国人の個人旅行15名の計316名を受け入れておられます。
体験教室も豊富で、身の丈にあった取り組みでありながら、満足度の高いシステムを構築されています。
https://kaerunoyado.jimdo.com

皆さん、山葵(わさび)発祥の地が和歌山だとご存知でしたか? ここ真妻山葵は太くて味も良いとのことですが、生育には普通の2倍かかり育てにくいと言います。それも水害などで山葵田が全滅する危機にもなんども遭遇しているとか… 平成23年の紀州大水害で埋まった山葵田を復活させる平井農園の平井 建代表さまでお話をお聞きしました。
http://www.nagomi-shop.jp/info/mazuma-wasabi.shtml

また「かつおぶし発祥の地」も和歌山県の印南だそうです。印南の漁民“初代角谷甚太郎”が土佐沖にカツオの漁場を発見し、鰹節の生産を始め、2代目が燻乾カビ付け法を編み出したと言います。
https://www.town.wakayama-inami.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=169

和歌山の食材の広さは亜熱帯と温帯の境で農産物も豊富だそうです。しかしこれら優れた商材が知られていないとのお話なので、「なにわ名物開発研究会」をはじめお役に立つ方法を考えたいと思いました。

観光も、棚田百選で有名な“あらぎ島”“切目川ダム”、印南町のシンボル“かえる橋”、またCMにも登場する“顔の家”、熊野古道の“切目王子”、安珍清姫の“道成寺”と盛り沢山でした。

往路に渋滞で大変な目に遭いましたが、帰路は、ほとんど渋滞もなくスムーズに帰ることができ、
満足度800%のツアーになったことを報告させて頂きます。

また、大阪から飛び出して、地域の方と交流するツアーを企画したいと思います。

『これからの日本の観光!』 (第24回『観光のひろば』 講演概要)

(平成30年 6月 4日)
参加者数:47名

JR東海相談役の須田 寬さまは87歳とご高齢ですが、頭脳明晰で、今の観光産業を取り巻く問題を的確に把握され、幅が広くて奥の深い話をお聞かせいただきました。
須田様は物事を理解するときは必ず図を描くそうです。観光も図で書かれた書物がないので、『図でみる観光』(2018年5月発行)を書いたとのことでした。そして参加者にも贈呈していただきました。

10年ほど前、経済団体に「観光にもお金を出す仕組みを作ってもらいたい」と提言した際、経済団体からは「我々は経済団体、観光なんかに出せるお金はない」と、観光は経済活動だと思われず、観光を一段低く見られていたことを思い出す。今は状況も違ってきましたが、観光を経済活動としてみる目はまだまだ低い。
定住人口が減少するなか、交流人口は日本人で25人、外国人だと8人で定住人口1人に匹敵する経済効果がある。「交流人口が地域再生にもとても重要だ」と本題に入っていかれました。

日本商工会議所・日商観光委員会共同委員長の須田様は、5月8日に国土交通省を訪問し、石井啓一国交相、観光庁の田村明比古長官に、観光立国に向けた意見書を提出したそうです。
今回の講演は、その提言要旨に沿ってお話を進められました。

観光推進への課題として、訪日外国人旅行者は2,869万人と順調に増加し「観光立国」へ堅調な歩みを進めつつあるが、様々な課題が発現し、前途に困難が予見される。①地域による偏りが見られる、増加する②リピーターの受入体制が不充分、経済効果を受け止めるべき③観光産業がその機能を充分に果たしていない、さらに、④観光の安全対策の緊急性が指摘されると指摘されました。

観光客は、大都市圏、特定観光地へ集中し、宿泊施設の需要も偏り、深刻な需給逼迫が見られる。このため観光の地方分散、利用度の低い宿泊施設の有効活用等が緊急の課題で、「汎日本(オールジャパン)観光」の展開が必要である。
観光客が多く、京都市では市民がなかなかバスに乗れない、鎌倉では江ノ電に乗れないなど、市民生活にも影響が出ている。観光客を地方に分散する仕組みを緊急に作らないと、「観光公害」という問題に発展しかねない。そのために地方空港、地方港湾の整備を含め、観光地を横に結ぶ交通インフラ整備が不可欠になる。観光地を利用者の立場にたった第3次交通を作らないといけない。
今、リピーターが増加しているが、皆が同じ観光スポットには行かないで、もっと各地を回れるような多様な観光資源を作り提供していかないとリピーターは来ない。食を取り入れた観光、早朝観光や夜景など時間差を加えた観光など、ワイドな観光に取り組まなければならない。
観光産業は伝統的な形態で98%が中小企業。人材育成も進まず、IT導入など経営の近代化も遅れている。観光客を呼ぶ工夫も足らない。観光産業の経営近代化、効率化が急務である。
観光の基礎は「安全、安心」である。南海トラフ地震が30年以内に80%の確率で起こると言われる。今、地震が起こった時の観光客への特別な対策はほとんど用意されていない。地震で多くの死者が出たり、避難先の不備があった場合、信用を失い、日本を訪れる観光客は減少する。そのような事態を招かないためにも、観光客の避難、誘導、保護対策の確立が緊急の課題になる。

昔は観光に関する情報がなかったから旅行会社へ行った。今はネットで観光情報は自由に手に入るようになった。さらに魅力を高める工夫をしないとリピーターは来なくなる。

質疑応答で「民泊」についての意見を求められ、須田様は、これまで民泊は認められていなかったから、いい加減なヤミ民泊が増えた。金を取って宿泊客を泊めるなら、旅館やホテルと同じ規制がかけられなければならない。また「オリンピック」への意見では、オリンピックのみで観光客が増えるものではない。外国人もそれほど増えないし、日本人はテレビ観戦するので、観光の効果は期待できない。オリンピックにより日本の知名度が上がったことに効果がある。それを観光でどう受け止めるか、である。

「観光」とは、自家用車で来て、ただ見物して通過するだけで人的交流がなく、「金を使ってもらわない観光」は、地域に公害をまき散らすだけ。観光は「文化活動、経済活動」である。観光に行きたくなるのは人の本能であり、あそこに行くと楽しい、あそこの食を食べに行きたいと思う「魅力ある観光」を作らないといけない、と話を締めくくられました。

案内チラシ
スライド1.jpg
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講演資料(展開図)
180604『観光のひろば』展開図(須田).pdf
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講演資料(提言要旨)
180604『観光のひろば』要旨(須田).pdf
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『和歌山県田辺市の’秋津野ガルテン’における農村多角化と観光の取り組み!』 (講演概要)
(平成30年 4月23日)
参加者数:35名

今回は、和歌山県田辺市の『秋津野ガルテン』に草創の頃、田辺市地域連携コーディネーターとして関わられた、和歌山大学食農総合研究所の岸上光克先生にお話をお聞きしました。

田辺市は、日照時間が長く80種の柑橘類が年間を通じて出荷できる地域だといいます。
しかし外国産オレンジなどの輸入とともに、ミカンだけでは収入を得るのが難しくなるなか、ウメ単作を選択する地区が大半を占めるなか、上秋津地区は「ウメとミカンの複合産地」の道を選びます。選んだ理由は、ウメの単作にして不作が起こった場合、生計を立てることが難しいこと、またミカンの生産技術継承が重要と考えて、複合産地の道を選んだといいます。
また、昭和50年以降、農地の宅地化が進み、新住民が増えるなか、新旧住民による地域のあり方を議論する場を平成6年に設立しています。このような「地域のことは地域が考える」風土が、その後の発展に寄与していきます。
平成11年、農産物直販所を開設してみようとの声があがり、31人が10万円を出資して農産物直販所「きてら」を開設させます。しかし売り上げが伸びず倒産の危機、客が来ないならこちらから売りにいこうと、「ミカンを軸に、青果物や加工品の詰め合わせセット」の販売に力を入れます。平成20年の売上高は1億円にもなったといいます。
「きてら」が凄いのは、①住民が出資 ②チャレンジ精神、でも身の丈 という考え方です。
平成16年にはミカンの格外品を無添加の果汁ジュースとして商品化するため、31人が50万円を出資、「俺ん家ジュース倶楽部」を作ります。農協より高い買入価格なので、農家所得の向上にも繋がっているといいます。

次に「都市から来てもらう」ことを考え、都市農村交流(グリーンツーリズム)に取り組みます。
平成14年、自治体の「秋津野マスタープラン」ができて、上秋津小学校の移転が盛り込まれます。平成15年に、地域住民による「上秋津小学校現校舎活用検討委員会」を組織し、「この木造校舎は地域の財産だ。壊すべきではない」との考えを、田辺市に提言を行います。平成18年、上秋津小学校新築移転とともに「秋津野ガルデン建設委員会」を立ち上げ、小学校用地購入を決議、運営会社「農業法人(株)秋津野」(資本金4180万円)を設立し、平成20年11月に「秋津野ガルデン」をオープンさせます。
「秋津野ガルデン」では、農家レストラン、宿泊施設、市民農園、ミカンの樹オーナー制度、農作業体験・加工体験、地域づくりの視察・研修の事業を行っています。
農家レストランは地域の女性30人で運営されていますが、スタートする時「私たちにはできない」と言われたといいます。全国の農家レストランを見に行ってもらい、「自分たちが普段作っている料理でよい」と気づき、客から「肉がない」と言われたら「他所で食べてくれ」と、地元で採れたものを食べてもらうことにこだわったといいます。また「地元で作ったものを地元の人が加工するので、地域からお金が出ていかない」こともポイントだと話されていました。
「秋津野ガルデン」の現在の年間交流人口は6万人だと言います。「紀州熊野地域づくり学校」(現在の「地域づくり戦略論」)などを開講し、「地域づくり」と「地域経済」の両立を目指す地域づくりの人材育成の場にもなっています。

近年の訪日観光ブームのなか

、「秋津野ガルデン」にも訪日客が年間500人程度来られているといいます。また「秋津野ガルテン」のキャパを考えると500名が限界かもしれないとの話もありました。「秋津野ガルデン」は、もともと観光施設として作られたものではなく、「地元で作った作物を、地元の人が加工して、食べてもらう」地域に根ざした活動が根本にあることを忘れてはいけないと話を締めくくられました。

8月に『秋津野ガルテン』を訪問する企画を立てていますが、是非、皆さんも「秋津野ガルテン」をお訪ねください!

180423 「秋津野ガルデン」岸上(掲載用資料).pdf
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『なぜ熊野古道に外国人観光客が殺到するのか?』 (講演概要)
(平成30年 1月11日)
参加者数:40名

今回は、民宿「霧の郷たかはら」オーナーの小竹治安(シノ ジアン)様をお招きしました。
熊野古道に2008年にオープンした『霧の郷たかはら』。標高320mの場所にあり、「雲海が漂い、幻想的な雰囲気を味わえる」として口コミが広がり、トリップアドバイザーの2016年ホテルアワード旅館部門で全国5位に輝いた、熊野古道屈指の人気の宿です。

『霧の郷たかはら』の立場から見て、“なぜ熊野古道に外国人観光客が殺到するのか?”“なぜ『霧の郷たかはら』に宿泊されるのか?”について語っていただきました。

小竹さまの経歴もユニークです。15歳で祖父から強制され英国に留学。英国で出会ったスペイン人の影響でスペインに留学。母の他界で帰国し、関空で開業予定のフランス料理店を引き継ぐが、大赤字で撤退。上海の木材工場に従事。和歌山でスペインバルを開業。そして、タクシー業の手伝いをしていた時に和歌山県の「熊野古道の旅館の経営者募集」を知り応募。採択されて「霧の郷たかはら」を運営し、今年で10年になるといいます。

熊野古道は外国人、それも富裕層に人気だといいます。その理由は「日本は安全だから」が大きいようです。また熊野古道を選ぶ大きな理由は「何もない」からだといいます。「何もない」ことが豊かな自然を生み、スピリチュアルな環境を作ります。海浜リゾートの白浜は料金が高くつくのでプーケットなどのリゾートを選ぶ。熊野古道はリーズナブルだとの話もありました。
熊野古道には5〜7泊かけてウォーキングされる方が多く、1箇所での連泊ではなく、次の宿に移られるスタイルが多く、コース全体に案内板や設備が整っている点も評価が高いといいます。荷物搬送サービスも整っており、外国人はこのサービスを使って大きな荷物を運び、自らはナップザック一つで歩いて移動されます。
宿泊客は国内52%、国外48%です。欧米諸国とオーストラリアのお客様で9割近くを占め、香港、中国、シンガポールのお客様も増えつつあるといいます。季節は、春が最も人気で外国人が8割以上、夏は3割程度、秋もシニアの人気が高く、冬はオーストラリアのお客様がニセコでのスキーの帰りに寄られるなどの特徴があるようです。
宿で過ごすスタイルも、日本人は「個室でゆっくりする」のに対して、外国人は「共有スペースを楽しむ」ようです。「霧の郷たかはら」は客室以外は広々と使えるオープンな配置にしています。

「霧の郷たかはら」はスタッフ14人全員が外国語を話せます。オープン当初、外国語を指導しようとしてもなかなか受け入れられなかったそうですが、食事と宿泊場所を無料提供する代わりに6時間の労働力を提供する「ウーフ」という制度を導入したところ、地元採用スタッフの外国語コミュニケーション力が自然と身についたといいます。過去2年間で12カ国100名以上の働き手を受け入れており、どんな国・文化圏から来る利用者にも対応できるというから驚きです。
またこのウーファーによるSNS(ヨーロッパでは「WhatsApp」の利用が多い)による情報が世界に拡散されたことも、「霧の郷たかはら」の認知度を上げたようです。

今後は、「霧の郷たかはら」を拠点とした半日周遊コースの企画を進めたり、イタリアのトスカーナ州にあるヴィラとスローツーリズムで連携する考えもあるそうです。
「霧の郷たかはら」は、和歌山県が10年間の期限で公設民営されていたので、この施設を買い取り、来年度からは民営としてスタートさせるそうです。

私も仲間4名で10月に「霧の郷たかはら」で宿泊しましたが、雲海の素晴らしさ、食事を含むおもてなしに感動した1人です。是非、皆さんも熊野古道、「霧の郷たかはら」をお訪ねしてくださいと話を締めくくりました。

たかはらUR(配布).pptx
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『自ら方程式をつくるまち 〜大分県竹田市からの地域づくりへの挑戦〜』 (講演概要)

(平成29年11月20日)
参加者数:43名

今回は、大分県竹田市の首藤勝次市長に「地域づくり」や「観光」について熱く語っていただきました。
まず、これからの日本は基礎自治体が自立するしか再生ができないのではないかとのお話でした。地域が変わってきている潮流があるにも関わらず、国は一律の方向で再生できるという幻を見ていたことが最大の問題だった。そこで、改革を「お前がやるべきではないか」との思いを持って市政に携わった。
「自立を促す力」は、「人間力」「地域力」「行政力」「自治体の経営力」がなければならない。「人間力」は、地域に住む人や過去に生きた人、全国のネットワークの人間の力、「地域力」は、地域をどこまで知っているかにつきる、「行政力」は、これまで自治体に行政力がなかった。「ふるさと創生事業」にあたっても、過疎化が進行する自治体の99%が「何をして良いか分からない」と応えていた。政策力、企画力がいかに大事かを感じる事件だった。また良い企画も、「自治体の経営力」がなければ地方は路頭に迷うということを北九州市市長の末吉興一さんに教えられた。
竹田市では「TOP運動」を展開している。Tは竹田市、そして挑戦(トライ)の頭文字、Oはオリジナル、オンリーワン、Pはプロジェクト、パワーです。「TOP運動」は、住民との対話がなければ成り立たないので、全地域を巡り対話した。この時の記録から起こした政策が64本あり、これが竹田市の総合計画とともに重要な柱になっている。

「政策をブランド化」する必要がある。
「政策のブランド化」として、移住・定住促進という言葉が出る前から「農村回帰運動」を展開していた。「竹田総合学院」としてクリエイティブな作家を集める政策を立てた。「地域おこし協力隊45名」の多彩な人材を活用した。地域おこし協力隊の中には、帰化している外国の方が案内所で勤務したりするなど活躍している。地域おこし協力隊の活用では日本で一番で、国が一人400万円まで負担してくれるので、年間2億円を負担してくれており、地域で活躍するとともに、定住にも繋がっている。

「観光」とは何なのかを考えてみた。
観光の原点は「誇り」と「憧れ」が循環するものだと思い至った。“ディスカバージャパン“により観光は大衆化するとともに、歴史的建造物が損なわれ、文化の拠点も壊されてきた。他所から来る人にとって「憧れ」であるものと、地域の人が「誇り」を持つものとが重なり合わさったところに、観光の原点があると思われる。
今、危ないと思っているのがインバウンド。インバウンドを節操もなく取り込むため、地域の大切なものが失われる危険性があると思っている。

28歳の時に教えられた逸話にタイタニック号の話がある。遭難の後、素晴らしい遺品がたくさん回収されるなかに立派な旅行カバンがあった。そしてそのカバンの中は海水に侵されていなかった。そのカバンを作ったのがルイビトンだったという。一流には一流のエピソードがある。地域づくりでも「一流のエピソード」がなければならないと感じた。

直入町の頃、ドイツの温泉地形成に注目していたが、昭和8年からヨーロッパの温泉地を意識したまちづくりを考えていたことを知らされた。このような「地域に浮遊する遺伝子」が時空を超えて引き継がれ、長湯温泉が日本一の炭酸泉であると知り、平成元年に「全国炭酸泉シンポジウム」を開催することにつながった。
そして、ドイツのバート・クロツュインゲン市などと交流を始めた。
チェコ・カルロヴィヴァリ飲泉場で学んだことは、日本は経済大国かもしれないが、「後世に、誇りを持って残すべきものを残してきたか」と語られたことだった。飲泉場の銘板に刻また内容から、後世に何を語って、何を語り継いでいくかという精神の崇高性を感じた。

「世界に通用する個性的な温泉地形成」を目指し、「飲泉文化」「外湯めぐり」「温泉保養保険制度」をテーマとした。「飲泉文化」は、炭酸泉を飲むという文化。「外湯めぐり」は、内湯を持っていない住民が外湯を楽しむ文化であり、外湯は古老から学びの場でもあった。
また、長湯温泉療養文化館『御前湯』をはじめ、ラムネ温泉館、温泉利用型健康増進施設「クアハウス」の建物、また隈研吾氏の設計の「センターホール」を建設している。わずか半径2kmのなかに、日本建築学会賞を受賞した日本を代表する建築設計士の方4名の建物がある。これらが世界に通用する個性的な温泉地形成にもつながると確信している。

その後もドイツとの交流は続き、バート・クロツィンゲンの門外不出のワインを、輸出のための会社「NAKRO」を作り、直入町に輸出してくれることとなった。まだドイツや温泉の話が理解されない雰囲気の中、海の向こうの友人たちが身を削る思いで、理解を示してくれたことに感動した。
今日、そのNAOIRIのパッケージに入った白ワイン「フロイントシャフト(友情)」を持ってきたので、交流会で味わってほしい。

最後に、今日が亡くなった親父の生誕百年を迎える。親父の残した言葉だが「誰もやってないことに立ち向かう時、大切なのは夢のある展開を信じることであり、失敗を恐れて批判家になっている者の言動に左右されないことである。歴史という道はいったものではなく、行った者の後にこそ残って消えない」と話を締めくくられました。

171120『観光のひろば』首藤市長スライド.pptx
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『由布院温泉の観光まちづくりから全国へ、そして静岡県小山町のまちづくりの挑戦!』

(講演概要)

(平成29年9月22日)
参加者数:36名

今回は、元由布院温泉観光協会 事務局長で、静岡県小山町まちづくり専門監の溝口 久さんに語っていただきました。

由布院に危機が襲ったのは1975年(昭和50年)の大分県中部大地震だったといいます。「由布院は観光どころではない」という風評被害がたち、この風評被害から立ち直るため、「辻馬車」を走らせ、「ゆふいん音楽祭」や「湯布院映画祭」「牛食い絶叫大会」とイベントを矢継ぎ早に打ち、由布院は元気だと伝えることだったといいます。当時、中谷健太郎さんは「宣伝するな、表現しろ」と、「由布院は元気です、頑張っています、来てください」の宣伝は行わなかったといいます。

そのような流れの中で、平成8年に由布院温泉観光協会の事務局長の公募があり、静岡県職員でありながら、事務局長に応募したいと人事などを説得し、全国から応募があった20名ほどの中から溝口さんは選ばれたといいます。

由布院温泉は、人口1万人、年間観光客数380万人、年間宿泊客数80万人で、60%以上がリピーターだそうです。
由布院のまちづくりは、昭和45年「由布院の自然を守る会」発足、昭和46年「牛1頭牧場運動」などが始まったといい、全国の中でも先駆的な取り組みの地域でした。しかし、ドイツ研修旅行でドイツの町議員から「町にとってもっとも大切なものは「緑」と「空間」と「静けさ」。その大切なものを創り、育て、守るために君たちは何をしているのか」と言われ、その精神に学び、由布院の目指すべき観光は「団体旅行による歓楽型ではなく、自然、気候風土を活かした生活型観光地」、「最も住み良い街こそ、もっとも優れた観光地だ」との理念に至ったといいます。
「牛食い絶叫大会」を開催したのも、ゴルフ場の乱開発により牧草地を失いことにつながりかねないことから、畜産振興を図るため、牛1頭のオーナー制度を導入し、そのオーナーさんにバーベキュウを楽しんでもらう余興として始まったといいます。
また、宿泊施設の料理も、かつては総理大臣賞を受賞したような料理長が取り仕切っていたようですが、「料理人にクロウトはいらない」として、若い料理人たちが中心となり、地産地消による、由布院らしい郷土料理などを提供する流れに変えたといいます。

そのようにして作り上げられた由布院も、バブルの頃には観光入込客数は400万人を突破。宿泊施設や商業施設も増え乱開発が続いたといいます。
今は、これまで由布院を守ってきた人々と、外部資本で観光協会や旅館組合に加入しない人々との間で、新しい由布院を作らなければならない苦労があるようです。

溝口さんは今、静岡県小山町まちづくりの仕事につかれています。
豊門公園の修景、森村橋復元、フィルムコミッションのスタジオ事業などのプロジェクトに取り組まれています。そのため“ふるさと納税”を活用されていますが、小山町のふるさと納税は全国23位といい、募集をかける時から使途を文化財保全に使うなど明確にされているそうです。
小山町でのプロジェクトの精神も「地域住民が豊かになることにある」といいます。

2016年の熊本地震により由布院は閑散としているといいます。
そのようななか久しぶりの常連さんが由布院を訪れ、「久しぶりにここの静けさを思い出した」との声を聞きハッとした。私たちは大切なものを忘れかけていたと、現事務局長の小林さんは語っておられます。

由布院が、本来の由布院の良さを取り戻すため、少しでも応援していきたいものです。

(溝口)講演のレジメ.docx
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160505由布院が、いま取り戻すべきは.pdf
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『統合型リゾート(IR)の導入と大阪・関西の未来!』 (講演概要)

(平成29年7月24日 参加者数102名)

今回は、大阪府・大阪市IR推進局様と、IR推進協議会の事務局長で、大阪府立大学客員研究員の勝見博光様に語っていただきました。

先ずIR推進局の井谷推進課長様より、大阪の現状のお話があり、今後の大阪経済を支える新たな視点として「観光」や「MICE」に注目。国際会議はアジア太平洋地域の主要国別では開催件数を伸ばし、ここ数年は減少傾向にあるが、日本のシェアは、更に低下しており、大阪は日本の中でも4位に甘んじていると説明がありました。
日本のIRの基本的な考え方は、●国際競争力の高い滞在型観光の実現、●大きな経済効果、雇用創出効果、●IRを訪れる旅行客が全国各地を訪問(全国で経済効果)、●カジノ収益を幅広い公益目的に還元、●世界最高水準のカジノ規制の導入、●IRについての様々な懸念に万全の対策とあり、2017年度はIR実施法の審議に向けて準備が進められており、大阪としては、国の基本方針に沿って認定申請を行う段取りで進めている。ギャンブル依存症などの懸念材料も十分検討の上、万博も含めて、夢洲のまちづくりを進めてまいりたいとのお話でした。

勝見先生のお話は、シンガポールの事例として『IR(統合型リゾート)』はシンガポールが作った造語であり、政府が検討するのは「カジノ」ではなく、IRと名付けた新たな観光拠点開発であり、観光産業のさらなる発展や、MICE振興のための装置との説明から始まりました。
シンガポールも建国以来、何度もカジノ合法化議論があった。90年台後半からシンガポールの観光産業は競争力を失い、2003年のSARSの打撃を機にカジノ合法化が動き出し、2006年にカジノ法案を成立させ、2010年に二つのIRを誕生させ、大成功を収めている。
長引く不況で開発が止まっていたマリーナベイ地区、観光拠点として期待されながら魅力的な施設もないセントーサ島の活性化に向けた取り組みとして、カジノライセンスを二つの事業者に与え、カジノを基にした税金等による収益とともに、公的ミッションを入札時の条件として課す「税負担なき公共政策」という方策をとったといいます。
世界標準のIRは、カジノを通過しなければホテルやエンターテイメント施設、MICE施設にアクセスできない構造ですが、シンガポールはカジノを目的としていない人が安易にアクセスできない場所にカジノを設置するなど、カジノを最小化する工夫をしながらも、運営権を30年とし、10年間は新規免許を認めないことや、カジノを2か所に限定するというインセンティブを与え、事業の継続性を保護している。
富裕層を引き付けるため、MICE機能の充実や、世界的エンターテイメントの設置も条件とし、2000席以上の劇場や、世界の一流シェフを誘致する提案や、デザイン性の高いマリーナベイサウンズの提案などが事業者決定に大きく寄与したといいます。
また美術館などの公共性の高い施設や、市民の誰もが利用できるプロムナードや遊歩道の整備など、民営事業でありながら、公共性を担保したところにIRの本質があると説明されました。
このようなIRの原型と言われるのが、オーストラリアのメルボルンだともお話しされました。

今、大阪もインバウンドの増加を受けていますが、今後は、まちづくり的にもインバウンドの数の増加は問題になる可能性が秘めているといいます。IRやMICEにより世界の富裕層を集める仕組み、量から質へ転換を目指す必要があるとのお話で締めくくられました。

添付資料の出典:大阪府建築士会報「建築人」2017年4,5月号

勝見先生記事(建築人201704).pdf
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170724『観光のひろば』告知文.pdf
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『日本を世界に営業するFREEPLUSが語るインバウンド!』 (講演概要)
(平成29年5月15日 参加者数:72名)

今回は、株式会社フリープラス 地方創生本部本部長の三澤茂毅様から『日本を世界に営業するFREEPLUSが語る インバウンド!』について語っていただきました。

株式会社フリープラスは、2007年に代表取締役社長の須田健太郎氏が設立され、2010年に訪日観光業に参入されました。
三澤さまは、2012年に入社し、海外営業担当として、タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、インド の旅行会社を開拓され、年間13万人のお客様を送客する事業を牽引された実績をお持ちです。
2016年度より地方創生本部長に就任。現在、滋賀県大津市, 兵庫県養父市など全国各地の地方自治体と情報発信から誘客に至るまで、同社のネットワークを活かしたインバウンドのソリューションの事業に従事されています。

冒頭、フリープラスの理念、世界中の素敵なお客様に『人生に残る思い出をプレゼントする』こと、そして『日本の観光立国を成し遂げ、日本のファンを世界に広げ、日本の元気の原動力になる』ことを強調されました。

数ある旅行関係のなかでフリープラスは、アジア向けの団体旅行に軸足を置かれています。訪日外国人が増えているなかで、個人旅行が増えていると言われていますが、団体旅行も増えている。その団体旅行を取り扱う現地の旅行会社に日本の観光情報が伝わっていないことが問題と捉え、現地の旅行会社との架け橋になることで、フリープラスは業績を伸ばしてきたと説明がありました。
そして訪日旅行業(ランドオペレータ)に止まらず、新今宮に「FP HOTELS難波南」というホテルを4月1日にオープンさせ、将来は航空機事業にも進出し、観光事業の垂直統合を図りたいとのビジョンも語られました。

このようにランドオペレータの業務に携わっていると、現地の旅行会社から日本に送客するオファーを、また日本の自治体から送客してほしいというオファーを受けることが多くなり、両者をマッチングさせる意義を感じ、地方創生本部を立ち上げたそうです。
具体的には、富山県立山市から、立山黒部アルペンル-トを訪れるタイ人も増えているが、「タイ人にとって立山市は魅力があるか」の調査依頼を受け、仏教国であるタイ人が、立山信仰を持つこの地域に魅力を感じるとの結論に至った話は、頷けるものでした。

質疑応答も活発に行われました。
どこの地域からも果物狩りのオファーが多いが、「どこも同じ魅力を訴求するのではなく、地域の特徴を生かした差別化」が求められると、今日の講演を締めくくられました。

【講演資料】観光のひろば.pdf
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『文化財のレッドクロス 〜瀕死の文化財を救う仕組み〜』 (講演概要)
(平成29年3月15日 参加者数:33名)

今回は、元京都市観光政策監の清水宏一さまに『文化財のレッドクロス 〜瀕死の文化財を救う仕組み〜』ついて語っていただきました。

清水宏一さまが、観光政策監としてやられた仕事は、京都市の観光客5千万人にする構想を持ち、実際に観光客を5千万人に増やしたことで、“京都の奇跡”と言われたといいます。
当時、観光は物見遊山のように思われていましたが、産業としての観光に取り組まれました。国にも働きかけ、産業統計に観光の分類ができたことも大きかった。観光庁の設置にも寄与したとも語られました。成功の要因は、当時の桝本市長などのリーダーシップが大きく、京都市が全国に先駆けて観光統計に取り組み、観光を可視化した積み重ねが大きかったそうです。
成功の秘訣は「戦略」「宣言」「宣伝」「先鞭」と四つの“セン”です。

当時、大学に観光学部がなかったので、京都の全大学に観光学部を作ってくれと交渉されましたが、なかなか設置が認められない中、平安女学院大学が創ってくれることになり、退職後、大学教授になったエピソードなども語られました。
京都市の取り組みが凄いのは、ビルの高さ制限を下げたこと。看板の撤去(屋外広告物条例)。四条通の歩道拡幅です。この歩道拡幅では、商店街の売り上げが倍になったといいます。
これからの観光は「量から質」に転換する必要がある。京都市は2014年と2015年にアメリカの旅行雑誌に連続世界1位に輝いたが、2016年は順位が6位に下がった。理由は「混雑している」だった。VIPへの対応が大事だと語られました。

保津川下りやトロッコ列車で有名は亀岡市の専務理事になられた頃は、亀岡市の河川敷にサッカースタジアムを作って大型バスの駐車場としてパーク&ライドにする構想に取り組まれました。
サッカーをしていない時のスタジアムの稼働率を上げるためにも素晴らしい発想です。

その昔、京都市が「古都税」を導入しようとした時に寺院は観光を拒否し、大変な問題になりました。それも稲盛さんが中に立ち解決させましたが、寺院としても入場料が入らないので運営にも支障をきたしたようです。
京都の弱点の一つに“文化財保護”があります。多数の文化財の補修に回せるお金もなく、老朽化が進んでいます。昔は寄進者、篤志家、檀家、そしてお布施や賽銭で補修の費用も賄われてきましたが、今は賽銭でさえ集まりません。
1998年に稲盛和夫さんとともにデジタルアーカイブの京都宣言を行いました。“人間は、大地と人々の記憶に歴史と文化を刻んできました”に始まり、高らかに ”新しい文化と地の大地の創造”を謳いあげたと言います。

このときの精神を元に、“社会貢献”と“観光”を軸に基金を集め“文化財保護”の構想を思いついたそうです。そしてメビウスの輪のように無限に続く仕組みにこれから取り組むとの決意を表明されました。
京都の世界遺産の仁和寺に無料Wi-Fiを設置して、観光客がスマホでログインすると、仁和寺の歴史や文化財の情報が日本語・英語・中国語で配信するシステムで、広告収入を文化財保護のため仁和寺に還元する実証実験を行うそうです。緊急時は、避難場所情報を母国語で表示するという優れものです。
この構想が、総務省の『ICT活性化大賞2016』の奨励賞を受賞したともいいます。
この構想は、観光客、寺社、企業、投資家にとって四方良しだといいます。これまで起こった問題やこれからの課題などエピソードも交えながら、愉快で、志に満ちたお話でした。

そして、「人生は一度きり、悔いなく生きよう」と今日の講演を締めくくられました。

(配布)170315 ★観光のひろば(資料).pdf
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(変)170315第17回観光のひろばチラシ.pdf
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『お客様の“あったらいいな”を実現する戦略!』 (講演概要)

(平成29年1月16日)

参加者数:48名

今回は、株式会社 王宮(道頓堀ホテル)の橋本明元専務に『お客様の“あったらいいな”を実現する戦略!』について語っていただきました。

集客に苦しむホテル業界をよそに、常時稼働率90%を超える宿泊、キャンセル待ちのビジネスホテルに再建。社員さんに20万円の決裁権を持たせるなど、業界の常識を打ち破る戦略で業績アップを実現されています。

道頓堀ホテルは客室もシンプルなビジネスホテル。料金も8500円と強気の価格。稼働率90%を超える人気の秘密は“オモテナシ”だといいます。

橋本さんは中国で5年間修行を積み、日本の“オモテナシ”は世界一と実感したといいます。そして日本に帰国した時は、ホテル業界は価格競争の真っ只中。道頓堀ホテルも厳しい経営状況だったといいます。橋本さんは中国での経験と人脈を活かして東アジアをターゲットに戦略を転換。「海外の旅行会社が決定権を持っているので、その旅行会社に日本の魅力をうったえる」必要があると、海外への営業に走られています。

お客様を呼び込むポイントは“無料サービス”!

飲み物、インターネット、マッサージチェアー、インターネットを活用した国際電話、レンタサイクルすべて無料。お客様も「なんでも無料で使えて嬉しい」と言います。時には放置された自転車を引き取りに行くこともあるといい、スタッフの負担も少なくはありません。

橋本さんは「ホテルは簡単に値引きをするが、この値引きを経費と考えたら莫大な経費になる。無料サービスにかかる経費はわずか。そして、お客様の満足度は非常に高い」と言いきります。
戦略転換することにより、道頓堀ホテルの業績は急回復。橋本さんの狙いは的中しました。

しかし、成功の秘訣は従業員の“オモテナシの心”だと橋本さんは言います。

ロビーの飾り付けも従業員が自ら考え、オークションなどで安い経費で実現させています。

秘訣は「自分で考えること」。自分で考えてやることは楽しい。楽しいと良いものができる。それが“オモテナシ”に繋がるのです。

道頓堀ホテルでは20万円まで上司の承認不要のオモテナシ予算があると言います。

毎日10時から提供される「屋台ラーメン」、誕生日には人気ケーキ店の「ケーキプレゼント」も従業員から生まれた“オモテナシ”です。毎週火曜日に開催する“にぎり寿司”や“たこ焼き”など「日本文化体験」も従業員のアイデアで運営されています。

橋本さんは「自主性こそ従業員を本気にさせる!」と言います。

そんな道頓堀ホテルの“オモテナシ”とは、「お客様にとって“あったらいいな”を実現していくこと」をやり続けることだと、橋本様は熱く語られました。

読売新聞 27年12月31日の記事.pdf
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おもてなし企業選.pdf
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到知 1.pdf
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『国際リゾート戦略! 〜都市とリゾートに賑わいをもたらす〜 』
(講演概要)
(平成28年11月10日)
参加者数:44名

観光カリスマで、有馬温泉 御所坊の主人、有馬温泉観光協会長の金井啓修様。
先日、経済産業省のDMO先進地視察でスイスのツェルマットを訪れた話題も取り入れ、東京オリンピックまでに“有馬温泉を日本一の温泉地にしたい”との野望について語っていただきました。

1、有馬温泉は日本一になれるか?

有馬温泉は古事記に出てくる希少な温泉。古いことと歴史があるとは違う。有馬温泉には歴史の話が多数ある。舒明天皇(じょめいてんのう)(593年)の頃の話だが、舒明天皇といっても誰も分からない。分かりやすい物語が必要だと思っている。
有馬には火山が無いが、200mの所から98度の湯が出てくる地質学的にも希少な温泉だ。

2、有馬のインバウンドは台湾から

台湾に「哈日族(ハーリー族)」と呼ばれる、日本が好きでたまらない若者たちがいる。
peachもアジアの人が“桃”が好きだから“peach”と命名した。「KANO」という映画がある。日本統治時代の台湾、嘉義(かのう)農林学校の監督として迎えられた日本人の近藤兵太郎によるスパルタ式訓練により、甲子園球場で行われた全国中等学校野球大会で準優勝する。2014年の台湾で最もヒットした映画。今も、甲子園ミュージアムを訪ねる台湾人が多い。
有馬に「KANO」の主役二人に来てもらった。有名ブロガーに来てもらう取り組みも多いが、台湾をターゲットに選ぶなら、このような取り組みのほうが効果が高い。
台湾を訪問して驚いた。商品のパッケージがダサい。中華系の人は“パッケージをきれいにすると中身が良くない”と感じるという。有馬でも“手ぶら観光”に取り組んだが、荷物を他人が運搬するのを信用できなくて失敗した。学んだことは“中華系の人は人を信用しない”ということ。
赤色も、日本人が好む赤色、韓国の赤色、中華系の赤色と違う。このようなことも合わせて外国人目線で見ることが大切になる。

3、三次交通について

富山の光岡自動車が製作しているトライクという100kgまで積載する2人乗り電気自動車。1台160万円。月3万円程度のレンタルなら1時間千円程度で貸し出すことも可能と考えて、4人乗れるように改造し採用した。超小型モビリティより効率的だ。すると他の旅館も欲しいということで6台購入。LOTAS CLLBのメンバー資格を取り、保険料80%offにもなった。
有馬のように道の狭い所の三次交通に適したコンパクトカーを自ら開発する意気込みで、陸運局とも交渉して、トライク運行にこぎつけた。

4、山椒は小粒でピリリと辛い

有馬の料理といえば山椒を使った料理だった。しかし、かつて生育されていた有馬山椒が地域から消えていた。「有馬山椒を復活させよう」と活動し、有500本に増やした。
絶滅危惧種を復活させて登録し、プレシディア(特別な場所)と認定されると、プレシディアを使用したメニューが開発され、スローフードインターナショナルに登録される仕組みがある。有馬山椒はこのプレシディアに認定されたことにより、ステータスにしていくことができる。
各地で伝統野菜の復活に取り組んでいるが、このように戦略を持って、プレシディアに登録する取り組めばよい。

5、DMO

スイスのツェルマットには170万人の観光客が訪れており、有馬と同規模になる。
ツェルマットのDMOを訪問して驚いた。宿泊税の7億円をDMOの合議で観光開発に使っている。7億円あればロープウェイでも何でも建設できる。
また支配人クラスでフェラーリーに乗っている。48室程度のホテルでシーズン中の従業員は21人、オフシーズンは18人という。有馬で同規模のホテルなら従業員は100人。提供するサービス、オペレーションが違う。日本の宿泊施設もサービスを効率化しなければならない。
人を教育するのに時間がかかるが、スイスはマイスター制をとっており、ホテルであれば3年以上の経験を積んで1段階の認定を得る。何段階かの経験を積み、さらにマネージメントを学ぶ学校を経て支配人になる。このようなマイスターの制度も学ぶところがある。

懇親会では、関西の観光のキーマンを集めた『有馬の湯の談合』を開催しようとの密議も飛び出しました!

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『東海道新幹線の歩み! ~開業からリニア建設に至るまで~』 (講演概要)
(平成28年10月4日)
参加者数:63名

東海道新幹線が開通したのは昭和39年10月。政府から「東京オリンピックに間に合わせろ」の大号令のなか、突貫工事でなんとか間に合わせた。

しかし路盤が安定せず、安定するまで1年半を要した。当初予算も大幅に超過するなど、鉄道のようなインフラは無理な建設計画は決して良くないと学んだ。
当初の列車本数は60本、乗客数1日平均6万人であったが、現在は323本+臨時便で400本強の運行、乗客数は41万人となっている。

次の波は、昭和45年開催の「大阪万博」だった。入場者数6400万人のうち、新幹線による輸送は1000万人だった。
入場者の目的は、①パビリオンの見学、②外国の食事を楽しむ、③新幹線に初めて乗ることだった。“ひかり”の16両化など輸送力増強に力を入れた。

経営的には「大阪万博後の乗客確保」が命題であり、乗客確保には「観光」しかないとキャンペーンの検討に入った。
この時、力を発揮してくれたのが電通の藤岡プロデューサー。
旅行キャンペーンどこそこに行こう」と言うようなものでなく、「旅に行きたいなあ」というムードを作ることの理念から、川端康成からとった標語「美しい日本と私」のディスカバージャパンキャンペーンを行い、これが大ヒットした。
昭和47年は岡山までの延伸。昭和50年には博多への延伸があった。

昭和50年代は不景気で、毎年1兆円の赤字になり、運賃値上げも8回行った。
しかし運賃値上げは乗客を減少させ、“こだま”の減便などで対応した。
労働争議も頻発し、ストライキのため検査・補修ができず、半日運休することもあった。

昭和62年、JR東海が東海道新幹線を継承した。“新大阪駅”は新幹線ホームをJR東海、在来線をJR西と分割した。
「そうだ京都へ行こう」などの観光キャンペーンを展開して、“のぞみ”の投入など高速化と輸送力増強に力を入れた。
今や、JR東海の全収益の85%は東海道新幹線が稼ぎ出している。

平成15年、第2世代の新幹線として、品川ターミナル開業。
“のぞみ”中心のダイヤに刷新。最高時速300km/hへの挑戦などが始まった。

鉄道は「安全安定輸送の確保」が絶対条件だ。新幹線は50年間1度も事故を起こしていない。しかし阪神淡路大震災の時に新幹線が走っていたらと考えると恐ろしい。今後、南海トラフ大震災も起きるといわれている。
脱線防止ガイドレールの建設など、震災工事に年間1000億円を投入している。

しかし新幹線の輸送力は限界にきており、50年経過による老朽化も進んである。これらに対応するため、リニア(中央新幹線)によるバイパスラインの建設に着手した。
今後の輸送は、在来線、高速道路、一般道、バス、乗用車など2次輸送を充実させることが重要になる。リニアを念頭にしたまちづくりが求められることになる。

質疑応答も活発に行われ、リニアの建設ルート、構造、新幹線を活用した貨物など多岐にわたる質問にも、明確に、的確に答えられる須田さまの魅力に圧倒される時間だった。

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『1970年大阪万博から今日のインバウンド観光までの流れ!』講演概要

「時代の流れを読む」事業を通じて学んだ事
〜1970年大阪万博から今日のインバウンド観光までの流れ〜
(平成28年9月5日)
参加者数:35名

亀岡育男 様
(株式会社初亀 代表取締役)

亀岡育男さまは、1970年大阪万国博覧会に20歳で出店され、以来45年で国際博覧会・地方博覧会・大規模イベント等に200店を超える飲食店を出展された。

1970年「大阪万博」は、入場予定者数4500万人であったものが6400万人入場され、食単価600円で384億円という食マーケット規模になった。
4500万人のところに6400万人来られたので、本当に大きな成果を上げることができた。
1975年の「沖縄海洋博覧会」は、マーケットとして厳しいことが予想されたので出展しなかった。
1985年の「つくば技術博覧会」は、予定入場者数を2000万人とされているが、4000万人は入るだろうとの思惑のなかで計画され、2033万人しか入場されなかったため、客単価1000円になったが全体の食マーケット規模は203億円と厳しいものになった。
情報を入手した時は間違いなく大きなビジネスチャンスになると思い、6店舗を応札し、600人を雇用し万全の体制で臨んだが、初日から入場者は少なく、”失敗する”ということを味わった。
それ以降、マーケット予測として、何店舗の出店があり、何㎡あるかを計算し、しっかりとした需要予測をするようになった。

この時期から「地方博」ブームが来て、毎年4ヶ所程度開催された。
1990年、大阪市政100周年を迎え「国際花と緑の博覧会」が開催された。実務者のボランティアとして運営企画に参画することになった。これまでの博覧会では、営業者は金儲けに来ているのだからとヨソ者扱いだったが、「お客様と接するのはコンパニオン、ガードマン、店舗の従業員。これらの意見を大切にしないでどうするのか」との意見が出て、実務者も交えて検討を進めたのが大成功の要因だったと思う。
この博覧会の「マジカルクロス」という遊園地でビアフェスタをやることとなり、ミュンヘンのオクトーバーフェストをモデルに実施することとなった。

この頃「ラスベガスが凄いことになっている」との話が聞こえるようになり、視察に行った。
ラスベガスの歴史は、1931年にギャンブルが合法化され、1946年にマフィアが入り「フラミンゴ」が作られ大歓楽街になった。1966年にはハワードヒューズがマフィアを追い出し健全化した。1989年スティーブ・ウィルがホテル「ミラージュ」を開設してMICEの原型を作った。
当時ショーマンの憧れは、ブロードウェイに出演するかムーランルージュに出演するかだったが、ギャラの高いラスベガスを目指すようになった。
飲食業の視点でも、世界のトップクラスのレストランが並んでおり、食事を楽しむ場所となっていた。
ラスベガスがMICEの方向に進むこととなったが、マカオは賭博シティになっている。これはお客様がその雰囲気を作っているのだと感じた。

2005年、行政もお金がなくなり、地方博も開催されることがなくなった。
博覧会が大きなビジネスだっただけに打撃を受けたが、「国際花と緑の博覧会」で経験したオクトーバーフェストの簡易版を天王寺公園で展開することとした。オクトーバフェストは、ドイツビール、ベルギービールを飲むイベントだが、フォークソングで老若男女が踊る”盆踊り”のようなイベントにしたいと思い、そのため盛り上げのスタッフを増やしている。

これまでの経験のまとめとして、
①時代の変化に適応する(今良いものが明日も良いとは限らない)
②独自性(オリジナル)と多様性をあわせ持つ(強みの育成)
③攻める (常に攻めていて現状維持・挑戦により人財は育つ)
④己を知る「知っている事と出来ることは異なる。」(規模の拡大より長寿企業をめざす。幸せな成功を実感する)

博覧会のフードビジネスにおける成功と失敗についてノウハウから、企業の理念まで奥の深いお話を聞く機会になりました。亀岡さま、ありがとうございました。

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『日本酒3.0 世界化戦略を考える!』講演概要

『日本酒3.0 世界化戦略を考える!』
(平成28年7月2日)
参加者数:53名

第11回「観光のひろば in 白鶴酒造」は白鶴酒造資料館の見学から始まりました。

豊富な展示物を見学した後、

VISIT JAPAN大使で、日本酒の利酒師の資格を持つ、大阪経済大学・関西国際大学 客員教授の李 容淑(イ・ヨンスク)先生に『日本酒3.0 世界化戦略を考える!』について語っていただきました。

インバウンド観光客は確実に増えており、外国人が日本の伝統文化や日本食、そして日本酒に触れる機会が増え、日本酒の輸出量も確実に増えています。
外国人が評価する日本の魅力は『匠』です。「現代技術」は、車の自動ドア、自動販売機にインバウンドは感動します。さらに焼き物、和紙、日本酒のような「伝統技術」に感動します。
日本酒の輸出先の1位はアメリカ、2位は香港、3位は韓国です。韓国における日本酒の消費量は過去10年間で15倍と飛躍的に伸び、日本酒の海外輸出の22%が韓国です。

韓国人が日本酒を好む理由は飲酒文化の変化があります。マッコリ⇨焼酎⇨ビール⇨ウィスキー⇨ワインと好みが変化し、今、日本酒が人気となっています。それは日本酒の品質の良さ、日本の匠の技や技術への信頼の裏付けがあります。これまでアルコール度の強い焼酎を飲んできた韓国人は、日本酒を健康的、二日酔いがないとして好まれるともいいます。日流ブームで居酒屋などが急激に拡大したのも大きな理由です。

韓国のお酒、「マッコリ」「百歳酒」や、韓国で作った米のお酒「雪花」、野いちごで作った「覆盆子」などのお酒の紹介がありました。またビールととウィスキーを混ぜた「爆弾酒」の動画は圧巻でした。


韓国ではお酒の飲み方も楽しむので、テーブルに置けないお猪口などを日式専門店に投入するなどの提案もありました。
1万円する日本酒と千円の日本酒の違いは飲み比べないと分からないので、利き酒で本当の味を知ってもらう必要があるとのお話でした。

日本酒を作るときに、酒米を使用する理由、精米する理由、精米による品質の違い、数秒を争う洗米、麹による糖化、酵母によるアルコール発酵など、複雑な製造工程を理解してもらわなければ本当の日本酒の良さは伝わりませんと結ばれました。

日本人でさえ知らない日本酒の話をお聞きして、日本人がもっと日本のことを学ばないといけないと気付かされる講演となりました。

(配布)白鶴日本酒3.0.pdf
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『インバウンド時代がやって来た! 〜『観光のひろば』から見えるもの〜』(講演録)

『 インバウンド時代がやって来た! 〜『観光のひろば』から見えるもの〜 』
(6月1日)

第10回『観光のひろば』は51名の参加をいただきました。

星乃 勝 様
(NPO法人スマート観光推進機構 理事長)

『観光のひろば』にどうしてこれだけ人が集まるのだろう…
あらためて名簿を見ると参加する人が”多様”なことに驚きます。それだけ『観光』は”多様”であることの表れだと思います。これまでのゲストも”多様”な内容でした。
”多様”な人が『観光』について学び、語り合える場は『観光のひろば』の場のほかでは見当たらないと改めて思いました。

講演は「何故、インバウンド観光に取り組むのか」から始まりました。
1940年代は子供が多くて高齢者が少ない時代から2050年には高齢者が多くて子供が少ない時代に人口構造が逆転する。これは労働人口の減少を指し、高齢者を支える人が少なくなることだ。このような時代だからこそ、新しい産業として『観光』に注目が集まっている。
昨年のインバウンド1974万人。アジア83%だが、欧米も増加している。世界中で海外旅行が増え11億8400万人になっている。
ある国際ブランド力調査で日本は6位だった。そのなかで「最先端のアイデア、新しい考え方を生み出すクリエイティブな場所」が1位なのは嬉しい。逆に「豊かな自然があるか」が16位なのは、まだ日本が知られていないからだ。日本に来て「良かった」とのクチコミから、さらに日本の良さが伝わっていくことだろう。

『観光のひろば』のゲストの話を振り返ります。

8月は、観光庁観光地域振興部長 吉田雅彦様に「期待が高まる関西の観光」について、観光統計と地方で頑張っている事例の紹介をいただきました。また、元京都市観光政策監の清水さまには「京都の観光」について語っていただきました。
京都市の観光は中高年の女性が10回以上訪問している。それにはたゆまぬ努力がある。最近の出来事では、四条通りの拡幅工事がある。これにより道路が2車線に減り、歩道が6.5mに倍増した。歩行者が増え、商店街の売り上げが倍増している。カンバンの撤去も素晴らしい。
9月は、李 容淑先生に「日本酒と観光」について語っていただきました。
韓国では日本酒の輸出量が10年で15倍。日本酒の輸出の22%が韓国。日流ブームとアルコールの強い焼酎から日本酒へと変わる健康志向が日本酒の消費量を増やしている。
10月は、関空の石川執行役員には「関空のインバウンド戦略」について語っていただきました。
関空は2014年度に国際線旅客数の外国人利用が日本人を越し、2015年は外国人利用が1100万人。日本人利用が610万人。今年の2月に外国人利用で成田を抜き日本一になった。
関空の案内所「関西ツーリストインフォメーションセンター」は日本一! 王さんという副所長が「台湾の同胞に日本を好きになってもらいたい」と頑張っている。質問で最も多いのは「鉄道パス」の話。「私のプランに一番良い鉄道パスはどれですか」の質問だという。
11月は、(株)シーズの三宅さまに「ムスリムへのおもてなし」について語っていただきました。
2030年、􏰁イスラム教徒が全世界の26%になる。ムスリムの観光客はイスラム教の戒律に厳しい人から、それほど厳しくない方まで個人差が大きい。そして困られているのは食事。豚肉は戒律でも禁止されており口にする人はほとんどいない。しかしお酒は飲まない人もいるが、旅先では飲む方も多い。「私のお店ではこの条件で料理を提供します」と表示する「ムスリムフレンドリー」を提唱されている。
1月は、グーグルの杉原執行役員に「グーグルを使った地方活性化」について語っていただきました。
過去3年でGoogleにおける旅行関連検索数は2倍に増えた。そのなかでもスマホ利用が増えているのは、旅中でスマホを利用する人が多いということ。スマホへの観光情報の提供が重要だ。しかし国や地域によって検索の傾向は異なる。国や地域に合わせたプロモーションが必要になる。
2月は、ぐるなびの杉山執行役員に「ぐるなびの観光戦略」について語っていただきました。
ぐるなびの月間総アクセス数11億PVと右肩上がりに増えている。2013年は日本からのアクセスが59%だったが、2015年には海外からのアクセスが59%と逆転している。トリップアドバイザーやミシュランとの連携でさらに海外からのアクセスが増えるのだろう。
3月は、(株)マイルストーンの谷川様には「中国人の医療ツーリズムの動向」について語っていただきました。
外国人患者を受け入れたことがある病院は79%、訪日外国人の医療が15%、医療ツーリズムという検診と観光を組み合わせたものがが6.4%。
今年の春節期間中に海外で過ごした中国人は600万人という。その2割が健康・医療。美容や健康を求める中国人も増えている。
4月は、エクスポート・ジャパン(株)の高岡様には「インバウンド観光におけるICT戦略」について語っていただきました。
「ジャパンガイド」という日本一の訪日外国人向けの日本情報ポータルサイトを運営しており、「ジャパンガイド」は、47都道府県、179地域、1700ページが掲載されている。これは代表のステファンさんが日本が好きで、自分の足で歩き写真を撮り集めた生地だからこそ成し遂げたもの。CMベースでは地方の情報を掲載することは難しいとのお話でした。
5月は、エール学園の長谷川理事長と西村様に「留学生をインバウンドに活かすため」について語っていただきました
渡日留学生は24万人と増えている。留学生の感性や語学を活かした観光プロモーションや市場調査など『おもてなしプロジェクト』に取り組んでいる。特に効果が高いのは留学生によるSNSによる発信。『国際人財活用ネットワーク交流会』も多様な人の交流を生んでいる。
15年ぐらい前から留学生に地域清掃をさせることによって地域の人の心が開いたという。相手を立てる理念を吸収することによって、関係性が豊かな人材が育成される。この留学生が日本で雇用され、母国に帰るときに「平和の使者」になると語られた。

政府目標の2020年4000万人、2030年の6000万人という数字は、本当にこれを推進しても良いのだろうか?
清水寺の参道は歩けない状態だといいます。もし事故が起こったら…
宿が足りない、駐車場・観光バス・運転手が足りない、通訳ガイドが足りない、見直す必要があることがたくさんある。
「民泊」に注目が集まっている。ホームステイ型はトラブルも少なく、ホスピタリティが高いが、家主不在型は、騒音などトラブルがあるという。万が一事故が起こった時、誰が責任を取るのか。損害は誰が保証するのか。国で真剣に議論してもらいたい。
『観光』を考える前に、『住民生活の場』であることを認識する必要があると、スマート観光推進機構は考え方をご紹介しました。

最後にスマート観光推進機構の取り組み「インバウンドツアー・体験教室カタログ」「インバウンド村構想」をご紹介しました。
質疑応答の中で『観光』の真の目的は「世界平和」であることも確認されました。

交流会にも多数の方が参加していただけました。
大切なのは、”多様な人”が交流すること。良い話を聞いただけで終わるのは何とも勿体ないと思います。

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160601『観光のひろば』(掲載).pdf
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